読書

★高野和明『踏切の幽霊』文藝春秋

高野和明『踏切の幽霊』文藝春秋を読了。 新聞記者出身で、いまは女性雑誌の記者をしている松田は、心霊特集を担当させられることになる。そこで渡されたのが、読者から寄せられた1枚の心霊写真だった。下北沢三号踏切で撮られたその写真には、腰から下のな…

★デイヴィッド・マレル『廃墟ホテル』ランダムハウス講談社

デイヴィッド・マレル『廃墟ホテル』ランダムハウス講談社を読了 寂れたリゾート地に残された廃墟となった巨大なピラミッド型のホテル。建てたのは若くして莫大な遺産を相続したものの、広場恐怖症のためにそのホテルにこもって一生を過ごした富豪。そのホテ…

★渡辺啓助『密林の医師』盛林堂ミステリアス文庫

渡辺啓助『密林の医師』盛林堂ミステリアス文庫を読了。 昭和19年に春陽文庫として刊行された本の再刊だが、そのオリジナルは戦地の慰問用として刊行され、ほとんどが海外の戦地に送られたため、国内にはほとんど残っていないのだという。ほとんど残っていな…

★ジョー・R・ランズデール『凍てついた七月』角川文庫

ジョー・R・ランズデール『凍てついた七月』角川文庫を読了。 額縁屋を営み、妻と幼い息子を愛するごくごく平凡な男、リチャード・デイン。だが、彼の家に忍び込んできた強盗を正当防衛で射殺したことから、デインは思いも寄らない世界に足を踏み入れること…

★スーザン・プライス『500年の恋人』創元推理文庫

スーザン・プライス『500年の恋人』創元推理文庫を読了。 時を超えたロマンティック・ファンタジー小説『500年のトンネル』の続編である。 前作で16世紀の世界から利益を吸い上げようとした揚げ句に手痛い目にあってタイムトンネル計画を中止したFUP社だが、…

★スーザン・プライス『500年のトンネル(上下)』創元推理文庫

スーザン・プライス『500年のトンネル(上下)』創元推理文庫を読了。 ある企業が21世紀と16世紀のイギリスを繋ぐタイムトンネルを開発し、16世紀の地下資源を採掘したり、観光地化したりという計画を立ち上げる。だが、16世紀のその地域にはスターカームと…

★ハンナ・ティンティ『父を撃った12の銃弾』文藝春秋

ハンナ・ティンティ『父を撃った12の銃弾』文藝春秋を読了。 なんと素晴らしい犯罪小説であろうか。身体中に銃弾の痕のある父親と、その父に愛されて育った娘の物語だ。現在のパートと過去のパートとが交互に語られ、その過去のパートでは父の体に刻まれた銃…

★東雅夫編『怪獣文藝の逆襲』角川書店

東雅夫編『怪獣文藝の逆襲』角川書店を読了。 怪獣をテーマとした短編集とのことで、たいそう期待して手を出した。編者による「はじめに」を読むと「今度は戦争だ」とある。「本書は、より具体的・即物的な「生物」「生命体」としての怪獣と、サイズや能力、…

★貫井徳郎『邯鄲の島遥かなり(上中下)』新潮社

貫井徳郎『邯鄲の島遥かなり(上中下)』新潮社を読了。 内容も知らないのに、貫井さんがこれだけのボリュームの小説を出したからには絶対に自分の好みの小説に違いあるまいと決めつけて買った本。だけど、買ったはいいのだけれど、あまりのボリュームに手を…

★柴田哲孝『WOLF』角川文庫

柴田哲孝『WOLF』角川文庫を読了。 奥秩父に“山犬”と思われる大型動物の群れが現れ、釣り人や家畜に被害が発生する。だが、本当に“山犬”なのか? もしかしたら、絶滅したとされていた“オオカミ”なのではないだろうか? 対策本部は、かつて奥秩父に“オオカミ”…

★星野ケイ『香港電影 スター★チェイサー』角川ティーンズルビー文庫

星野ケイ『香港電影 スター★チェイサー』角川ティーンズルビー文庫を読了。 香港映画の片隅に写っていたスタントマンに惚れ込んだ高校生の片山早紀。香港での新作映画撮影現場の見学ができるツアーの懸賞応募にみごとに当選して、あこがれのスタントマンがい…

★トマス・オルディ・フーヴェルト『魔女の棲む町』マグノリアブックス

トマス・オルディ・フーヴェルト『魔女の棲む町』マグノリアブックスを読了。 人口約3000人の町、ブラックスプリング。その町は、魔女に呪われていた。350年以上も前、魔女裁判によって処刑されたキャサリンに呪われたその町の住民は、町から外に出ると強烈…

★クラム・ラーマン『ロスト・アイデンティティ』ハーパーBOOKS

クラム・ラーマン『ロスト・アイデンティティ』ハーパーBOOKSを読了。 週に一度だけとはいえ、モスクに通っているムスリムでありながら、麻薬の売人でもあるロンドンの若者ジェイ。そんな彼にMI5が目をつける。イスラム過激派によるテロを未然に防ぐため、過…

★小沼勝『わが人生 わが日活ロマンポルノ』国書刊行会

小沼勝『わが人生 わが日活ロマンポルノ』国書刊行会を読了。 先日読んだ『スクリプターはストリッパーではありません』の流れで手を出した一冊。そもそもは、国書刊行会の50周年記念冊子で面白そうと思って買った本なのだが。 実は、自分は小沼勝監督の映画…

★フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』創元推理文庫

フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』創元推理文庫を読了。 実に奇妙な味わいの短篇が11本収録されている。いずれも、「犯罪」を題材にした作品でありながら、人間というものの不可思議さ、奥深さを乾いたタッチで描いている。どの作品も、犯罪の経…

★白鳥あかね『スクリプターはストリッパーではありません』国書刊行会

白鳥あかね『スクリプターはストリッパーではありません』国書刊行会を読了。 書名を見ても、どういう内容の本なのか、まったくピンと来ていなかったのだけれど、国書刊行会50周年記念で配布された小冊子で「面白そう!」と思って入手したもの。 スクリプタ…

★チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』ハヤカワ文庫NV

チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』ハヤカワ文庫NVを読了。 なんかすごい小説を読んだという感想以外に、この小説をどう紹介すればいいだろうか。 不眠症に苦しむ僕は、ある日出会ったタイラーという男とともに、素人どうしが素手で闘うファイト…

★三浦晴海『屍介護』角川ホラー文庫

三浦晴海『屍介護』角川ホラー文庫を読了。 なんともえぐい描写の続くホラー小説で、この手の小説の苦手な人には絶対にオススメはできない。 山奥の屋敷で、住み込みのヘルパーとして働くことになった主人公が面倒を見ることになった相手は、肌は変色し、頭…

★アルジャナン・ブラックウッド『ポール伯父の参入』漂着文庫

自分はずっとアルジャーノン・ブラックウッドという表記で慣れていたのだけれど、最近ではアルジャナン・ブラックウッドという表記の方が定着してきているのかな。で、そのブラックウッドを読むのは、実は本書が2冊目。前に読んだのはめちゃくちゃ大昔で、…

★ゾラン・ジヴコヴィチ『図書館』盛林堂ミステリアス文庫

ゾラン・ジヴコヴィチ『図書館』盛林堂ミステリアス文庫を読了。 本を題材にしたちょっと奇妙な小説を揃えた短編集。 小説家が出会った自分の未刊の作品が揃ったネット上の「仮想の図書館」、郵便箱の中にいつの間にか入っている本のせいで生活空間が埋め尽…

★秋山瑞人『龍盤七朝 DRAGONBUSTER02』電撃文庫

秋山瑞人『龍盤七朝 DRAGONBUSTER02』電撃文庫を読了。 乱暴な武術家との闘いを通して、突如として武術に開眼してしまった第十八皇女、月華(ベルカ)。卑しい血筋に生まれつき、ひたすら逼塞して暮らしてきた涼孤(ジャンゴ)を武術の達人と見抜いた月華は…

★秋山瑞人『龍盤七朝 DRAGONBUSTER01』電撃文庫

秋山瑞人『龍盤七朝 DRAGONBUSTER01』電撃文庫を読了。 なんと2008年に出ていた本だというのに、その存在にまったく気がついていなかった。秋山瑞人に未読の本があると知って、あわてて買ってきて速攻で読んで、やっぱり面白えじゃん!と単純に舞い上がって…

★西村健『激震』講談社

西村健『激震』講談社を読了。 阪神淡路大震災が起き、地下鉄サリン事件が発生した1995年というとんでもない年を、雑誌記者を主人公として描いたフィクション。著者本人が雑誌記者としてその場にいたのであるから、実にリアルで臨場感が半端ない。 なかなか…

★細野不二彦『1978年のまんが虫』小学館

細野不二彦『1978年のまんが虫』小学館を読了。 『Gu-Guガンモ』『ギャラリーフェイク』等のマンガ家、細野不二彦の自伝的マンガ。いままで読んできた男性マンガ家の自伝は、たいてい手塚治虫の影響でマンガ家をこころざすのだけれど、細野不二彦の世代とも…

★白土勉『火の獣』角川ホラー文庫

白土勉『火の獣』角川ホラー文庫を読了。 北海道大雪山の永久凍土の下から発見された新種のメタン分解菌TypeⅢ。それは地球温暖化をくい止める切り札となるものだった。だが、そのTypeⅢを採取しに来たヘリコプターを巨大な羆が襲い、ただひとり生き残った地球…

★伊藤典夫編訳『吸血鬼は夜恋をする』創元SF文庫

伊藤典夫編訳『吸血鬼は夜恋をする』創元SF文庫を読了。 かつて文化出版局から出された同題の短編集に、さらに9編を追加して文庫化されたもの。伊藤典夫があちこちに訳した短編を集めたもので、SF風味の強い作品が多いものの、必ずしもSFに限ったわけではな…

★芦花公園『異端の祝祭』角川ホラー文庫

芦花公園『異端の祝祭』角川ホラー文庫を読了。 この世にあらざるものを見てしまう能力を持つ女性、島本笑美。その能力のために社会に適応できず、就職もままならなかったのだが、なぜか一流企業への就職が決まってしまう。だが、出社した彼女を待ち受けてい…

★芦花公園『ほねがらみ』幻冬舎文庫

芦花公園『ほねがらみ』幻冬舎文庫を読了。 実は、こういうスタイルの小説は苦手なのである。章ごとに視点を変え、スタイルを変え、徐々に真相が明らかになっていくというスタイルの小説だと、読んでいるうちに自分が読んでいるものがなんであったのかがよく…

★山本甲士『迷犬マジック』双葉文庫

山本甲士『迷犬マジック』双葉文庫を読了。 国樹由香さんが「いつも犬(きみ)がいた」という「犬の出てくる面白い本」を紹介する連載でとりあげていたのを読んで無性に読みたくなった本。てっきり、とんちんかんな行動をする「迷犬」かと思ったら、迷い犬の…

★マイクル・コナリー『ダーク・アワーズ』講談社文庫

ずっと新刊が出るのを待ちかねて読んでいたマイクル・コナリーだが、バラード&ボッシュの『鬼火』、ジャック・マカヴォイの『警告』が自分としてはぜんぜんダメで、とうとうマイクル・コナリーも失速してしまったかと思ったのだけれど、続くリンカーン弁護…