【映画】レジェンド・オブ・フラッシュファイター 格闘飛龍

 昨日はアレクサンダー・フー・シェンが方世玉を演じた『続・嵐を呼ぶドラゴン』を観たので、今日はジェット・リーが方世玉を演じた『レジェンド・オブ・フラッシュファイター 格闘飛龍』を観る。
 清朝皇帝は、「反清復明」をとなえる秘密結社・紅花会の当主・陳家洛(アダム・チェン)に怯え、安眠を得ることができずにいた。そこで紅花会を倒すために武術の達人であるガウムン提督(チウ・マンチェク)を派遣する。
 一方、少林十虎のひとりである武術の達人方世玉(ジェット・リー)は、町で開催されている武術大会に挑んでいた。権力者であるロイフー(チェン・ソンヨン)が主催したもので、ロイフーの妻のシウワン(シベール・フー)に勝った者を娘ティンティン(ミッシェル・リー)の夫に迎えるという大会であった。ところが、不細工な別の娘をロイフーの娘と勘違いした方世玉はその試合にわざと負ける。ところがところが、それに我慢できなかったのがうっかり者の方世玉の母、苗翠花(ジョセフィン・シャオ)であった。同じく武術の達人である彼女は、男装して試合に挑むのだが、なんとシウワンに惚れ込まれてしまうのだった。
 騒動をしでかしたふたりは、父(チュウ・コン)からてひどく叱られるのだが、実はその父は秘密結社・紅花会の主要メンバーのひとりであった。そのため、ガウムン提督に狙われることになり、方世玉と苗翠花は父を守って清朝政府を相手に激しい闘いを繰り広げるのだった。
 昨日観た『続・嵐を呼ぶドラゴン』が悲壮感漲る作品であったのに対し、こちらはひたすら明るい。いたずら小僧の方世玉に、うっかり者の苗翠花という母子コンビの巻き起こす騒動が、やたらと笑えるのだ。それでいてアクション場面の充実度も半端ない。さすがはコーリー・ユン(元奎)監督作品だけのことはある。
 世の中、元奎を監督としてまっとうに評価していないという不満がずっとあるのだけれど、元奎の監督作品、どれもこれもやたらと面白いのだ。真田広之主演の『龍の忍者』で監督デビューして、その後の主だった作品を列記すると『レディ・ハード 香港大捜査線』『検事Mr.ハー/俺が法律だ』『98分署香港レディ・コップス』『ターゲット・ブルー』『D&D 完全黙秘』などなど、とにかく傑作揃いではありませんか。特に評価すべきは、ここぞという場面で、グッとエモーショナルな演出を盛り込むうまさで、本作で言うならば方世玉をかばって死んでしまった友人の遺体を取り戻しに敵地に単身乗り込んでいく場面。亡くなった友人を背負いながら「一緒に闘うぞ」と言いながら、敵をかたはしから叩きのめしていく。こういう泣かせる演出が実にうまいのだ。
 そして、本作のもうひとつの売りは、なんといっても新旧黄飛鴻役者の激突である。ジェット・リーとチウ・マンチェクが真っ向からぶつかり合うバトルの激しさよ。しかも、ふたりとも若い! なにせ1993年の作品である。このふたりの激突をたっぷり楽しめるというだけで、香港アクション映画ファンとしては感涙ものなのだ。
 同年に続篇の『レジェンド・オブ・フラッシュ・ファイター 電光飛龍』が撮られていて、これまた傑作なのであるが、配信はないし、TSUTAYA DISCASにも在庫がない。唯一、ゲオ宅配レンタルにあるので、今度はゲオ宅配レンタルも使わないとダメなのかもしれない。
 で、最後にひとこと。「レジェンド・オブ・フラッシュ・ファイタ-」って邦題、いくらなんでもひどすぎないか。ハリウッドの特撮スーパーヒーロー映画かよ。もっと、それらしいタイトルをつけて欲しかったよ。