2023-01-01から1年間の記事一覧
1993年の台湾の武侠映画『天山玉女剣』を観る。 映画は、若い夫婦と、その夫婦の幼い娘を抱えた男性の4人が何者から追われている場面で始まる。アオバという邪悪な武術者が、夫婦の持つ武術書を奪うべく、刺客をさしむけていたのだ。逃げながら夫婦と敵との…
『ドラキュラ デメテル号最期の航海』を観る。 ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』の第7章「デメテル号船長の航海日誌」を映画化したものとのことだけれど、『吸血鬼ドラキュラ』を読んでいないのでぜんぜんそんなこととは知らなかった。これを機会に…
中村計『笑い神 M-1、その純情と狂気』文藝春秋を読了。 漫才の頂点を決める大会「M-1」の歴史を、〈笑い飯〉というコンビを中心として描いたノンフィクション。 実は〈笑い飯〉については、「鳥人」というネタだけはやたらとシュールで面白かったという印象…
中国映画『南少林 拳法の覚醒』を観る。 原題は『南少林永春拳之突破重围』。『南少林 詠春拳誕生』『南少林 無双伝』に続く、詠春拳誕生秘話を描く〈南少林三部作〉の完結篇である。 この三部作をちゃんとリリースしてくれたアメイジングD.C.さんには感謝し…
韓国映画『THE WITCH/魔女 -増殖-』を観る。 遺伝子操作によって最強の超人集団を作り出そうとする「魔女プロジェクト」。それによって生みださまれた少女を主人公とした『THE WITCH/魔女』は、なかなか衝撃的なアクション映画だったが、本作はその<魔…
川内康範『銀座旋風児』穂高書房を読了。 終戦のどさくさの中で、軍の所有する数千万円に値する貴金属を大陸から持ち逃げした特務機関の4人の男たちがいた。そのことを知った銀座旋風児の呼び名を持つ二階堂卓也は、犠牲者となった男の娘とともに4人組の行方…
フィリピン映画『絡み合う欲望(Palitan)』を観る。監督は、『ローサは密告された』などの作品で世界的に評価の高いブリランテ・メンドーサ。東京国際映画祭では特集上映が企画されたこともある監督だ。 翌年に結婚を控えているジェン(カーラ・ゴンザレス…
芦辺拓『奇譚を売る店』光文社文庫を読了。 「——また買ってしまった。」というフレーズで始まる6篇の幻想的な作品を収めた短編集。いずれも古書店で手に入れた本もしくは資料がきっかけとなる奇妙な物語なのだが、「——また買ってしまった。」という導入部の…
フィリピン映画『DAY ZERO/デイ・ゼロ』(2022年)を観る。 ある日突然、謎のウイルスによってゾンビ化した人間が地上に蔓延し、感染していない人間に襲いかかりはじめる。刑務所に収監されていたエモン(ブランドン・ヴェラ/Brandon Vera)は、妻と娘のも…
逢坂冬馬『歌われなかった海賊へ』早川書房を読了。 デビュー作の『同志少女よ、敵を撃て』が凄すぎたので、この著者は2作目を書けるのだろうか、どうあがいたところでデビュー作に匹敵する作品を書くことは無理なのではないだろうか、そう思っていた。 が、…
ふと、アマゾンプライムビデオにあるフィリピン映画を調べてみたら、日本語字幕のついている作品で『アダン 禁断の果実』『DAY ZERO/デイ・ゼロ』『ヴァージンフォレスト 愛欲の奴隷』『ハウスメイド 欲望のしもべ』なんて作品があるのを見つけてしまう。『…
ジョン・カーペンター監督の『遊星からの物体X』を観る。 1982年に劇場公開された時に観て、その後、1985年にレンタルビデオ(VHS)でも観ているのだけれど、印象的なシーンこそしっかり覚えているものの、詳細はきれいさっぱり忘れていた。そりゃ、40年…
デイヴィッド・マレル『蛍』早川書房を読了。 『ランボー』の原作者として知られる著者が、15歳の息子が癌で亡くなったときの体験を小説にしたもので、ロバート・ラドラム、スティーヴン・キングが絶賛している。なんとも不思議な小説で、ファンタジーの趣き…
浦和パルコのユナイテッド・シネマ浦和にて『ゴジラ-1.0』を観てきた。今回はちょっと贅沢をして、IMAXでの上映をチョイス。 いやあ、IMAXで観てよかった。映像、音響の迫力がぜんぜん違う。 映画は、不満があれこれあるにしても、総体的には大満足。 まず…
ハモンド・イネス『怒りの山』ハヤカワ文庫NVを読了。 第二次大戦中、ナチスの捕虜となり、麻酔を使わずに足を切断されるという拷問を受けた元パイロットのイギリス人ファレル。仕事で訪れたチェコで戦時中の友人のトゥチェックに会うのだが、その時から謎…
『遊星からの物体X ファーストコンタクト』を観る。あの傑作、『遊星からの物体X』の続篇にして前日譚である。『遊星からの物体X』に繋がる話として、かなり綿密に整合性がとられているとのことだが、実は『遊星からの物体X』の詳細を記憶していないので…
シャーリイ・ジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』創元推理文庫を読了。 家族が食事に混ぜられた毒で惨殺された屋敷で、姉のコンスタンス、伯父のジュリアンと3人で暮らしている少女メアリ。家族殺害の疑いをかけられたことから、コンスタンスは村人との交…
先日観た傑作ホラー映画『エスター』の続編にして前日譚の『エスター ファースト・キル』を観る。 アメリカはコネチカット州に暮らすオルブライト家の幼い娘エスターは、4年前に突然行方不明となっていた。エストニアにいたリーナは、策を弄してエスターとし…
アメリカのホラー映画『エスター』を観る。話題になっていたことは知っていたし、ずっと気になっていた作品ではあるのだけれど、ビデオのパッケージから少女版『オーメン』のような作品であり、かなり後味の悪い作品だろうと推測し、なんとなく手を出しかね…
ジョー・R・ランズデール『ロスト・エコー』ハヤカワ文庫HMを読了。 子どもの頃の高熱が原因で、ハリーは不思議な能力を持つことになる。過去に暴力や恐怖に関係した物が発する音に触れると、その過去の出来事が見えてしまうのである。殺人事件のあった車…
シャー・ルク・カーン主演のインド映画『PATHAAN/パターン』を観る。 インドの諜報機関RAW所属の最強のエージェントだったジム(ジョン・エイブラハム)は、国から裏切られ、妊娠中の妻を失い、インドへの報復を実行に移すべく動き出していた。それを察知し…
ユナイテッド・シネマ浦和にて『ザ・クリエイター/創造者』を観る。 遠くない近未来、人を守るはずのAIが核を爆発させた—— 人類とAIの戦争が激化する世界で、元特殊部隊の〈ジョシュア〉は人類を滅ぼす兵器を創り出した“クリエイター”の潜伏先を見つけ、暗…
ユナイテッド・シネマ浦和にて『ザ・クリエイター/創造者』を観る。 遠くない近未来、人を守るはずのAIが核を爆発させた—— 人類とAIの戦争が激化する世界で、元特殊部隊の〈ジョシュア〉は人類を滅ぼす兵器を創り出した“クリエイター”の潜伏先を見つけ、暗…
岡本功司『人生劇場主人・尾崎士郞』永田書房を読了。 『人生劇場』で知られる小説家・尾崎士郞と長年にわたって懇意な付き合いをしてきた著者が、自分の見聞きした尾崎士郞のエピソードを中心に描いた評伝。なので、作家デビューするまでの話は、比較的あっ…
『ワンダーウーマン』のガル・ガドット主演のアクション映画『ハート・オブ・ストーン』を観る。 政治にとらわれず、国家への執着もない、荒廃した世界の平和維持を任務とするための超国家的組織チャーター。その行動を決定するのは、全能ともいうべきスーパ…
ジェレミー・ロビンソン『プロジェクト・マイゴ』角川文庫を読了。 そこそこ面白かった怪獣小説『プロジェクト・ネメシス』の続篇で、しかもハヤカワ文庫から出ている『怪物島 ヘル・アイランド』ともリンクしている怪獣バトル小説である。 が、これがぜんぜ…
東京国際映画祭にて、ラヴ・ディアス監督の最新作、『湖の紛れもなき事実(Essential Truths of the Lake)』を観てきた。 15年前、絶滅の危機に瀕しているフィリピン・イーグルの保護活動を推進していたエスメラルダ(シャイナ・マグダヤオ/Shaina Magdaya…
東京国際映画祭にてフィリピン映画『野獣のゴスペル(The Gospel of the Beast)』を観てきた。監督はシェロン・ダヨック、主要キャストはジャンセン・マグプサオ、ロニー・ラザロ。 15才の高校生のマテオ(ジャンセン・マグプサオ/Jansen Magpusao)は、妹…
東京国際映画祭にて、台湾映画『ミス・シャンプー』を観てきた。原題は「請問,還有哪裡需要加強」。「かゆいところはありませんか」というようなニュアンスのタイトルとのこと。 何者かに雇われたタイ人の集団に襲われ、血まみれになって美容院に逃げ込んで…
東京国際映画祭にて、フィリピン映画『漁師(The Fisher)』を観てきた。 寂れた漁村。漁師のペドロ(モン・コンフィアード)はひとりで漁に出ているのだが、このところ網にかかるのは腐った魚ばかりで、不漁が続いていた。村ではダイナマイトフィッシングが…