【映画】ザ・クリエイター/創造者

 ユナイテッド・シネマ浦和にて『ザ・クリエイター/創造者』を観る。

 遠くない近未来、人を守るはずのAIが核を爆発させた——
 人類とAIの戦争が激化する世界で、元特殊部隊の〈ジョシュア〉は人類を滅ぼす兵器を創り出した“クリエイター”の潜伏先を見つけ、暗殺に向かう。だがそこにいたのは、兵器と呼ばれたAIの少女〈アルフィー〉だった。
 そして彼は“ある理由”から、少女を守りぬくと誓う。やがてふたりが辿りつく、衝撃の真実とは…

 というストーリーなのだけれど、要するに悪の帝国アメリカが、AIと共存するアジアに対して一方的に殺戮攻撃を繰り返すというもので、よくまあハリウッドがここまでアメリカを悪く描いたものだとビックリする。映画から想起されるのは、明らかにベトナム戦争。『ターミネーター』のような世界観を予想していたのだけれど、ぜんぜん違っていた。悪いのはすべてアメリカで、AIはアジア人と共に暮らす友人というような位置づけだったのだ。人類対AIという単純な図式に落とし込まなかったこの設定は、なかなか新しいのでは。
 ただし、この映画におけるAIの位置づけというものが、いまいち分かりにくかった。人間とほとんど変わらないので、見かけがロボットというだけにすぎないとしか思えなかった。もう少し、AIらしい独特の行動様式とかがあってしかるべきなのでは。
 それにしても、映像はすごかった。ノマドという超巨大な飛行要塞は、さながら『スター・ウォーズ』におけるデススターのような圧倒的な存在感で、クライマックスシーンの迫力はまさに映画館のスクリーンならでは。ちなみに、ラストシーンは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に重なって見えた。
 監督は『GODZILLA ゴジラ(2014年)』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016年)』のギャレス・エドワーズ。『ブレードランナー』『スター・ウォーズ』といった映画のエッセンスがあちらこちらに紛れ込ませてあって、かなりのオタクであるように思われる。なにしろ、〈アルフィー〉が観ているモノクロのテレビ番組が宇津井健主演の『スーパージャイアンツ』だもんなあ。なんで、そんなレアな映像をここに持ってくるかなあ。