
ジャック・ケッチャム『森の惨劇』扶桑社ミステリーを読了。
人里離れた森の奥にキャンプにやってきた人気作家のケルシーを中心とした4人の男と2人の女。だが、彼らが踏み込んだ森には、ベトナム帰還兵のリー・モラヴィアが住んでいた。戦争で精神を病み、現実生活に適応できず、森の奥でマリファナを栽培しながら犬と暮らしているリー。ときとしてベトナムでの悲惨な体験がよみがえり、現実と戦時中の記憶の混乱をきたす男。キャンプに来たケルシーたちは、たまたまリーのマリファナ畑を発見したことから、ベトナム戦争を追体験するリーのターゲットとなってしまい、地獄のような逃避行に追い込まれるのだった。
いやあ、容赦ない。容赦ないのはこの逃避行の被害者となるキャンパーたちに対してだけではなく、キャンパーを執拗に追跡するベトナム帰還兵に対しても容赦がない。キャンパーは現時点での状況が悲惨なわけだけれど、ベトナム帰還兵は悲惨な過去から逃れることができないという地獄。ケッチャムは、その凄絶な地獄をじっくりと確実な筆致で描いていく。いやはや、たまらん。たまらんのだけれど、読みだしたらページをめくる指がとまらない。ぐいぐいと読まされてしまうのだ。
これでケッチャムの小説は『隣の家の少女』『老人と犬』『地下室の箱』『ロード・キル』『森の惨劇』と5冊読んだことになる。まだまだ未読の作品があるのだけれど、残念なことにほとんどの作品が絶版で入手が難しい。ブックオフあたりで簡単に見つかってもよさそうに思えるのだけれど、いざ探すとなると『隣の家の少女』以外はほとんど見かけることがない。そんなに発行部数が少ないのだろうか?






