2022-01-01から1年間の記事一覧

★天沢夏月『青の刀匠』ポプラ社

天沢夏月『青の刀匠』ポプラ社を読了。 火事で大やけどを負い、父が意識不明となった高校二年生のコテツは、遠縁の老婦のもとに身を寄せることになる。その女性は、日本で唯一の女性の刀鍛冶だった。顔の片側にヤケドを負ったコテツは、高校に戻ることができ…

★大沢在昌『黒石 新宿鮫XII』光文社

大沢在昌『黒石 新宿鮫XII』光文社を読了。 なんと、前作『暗約領域 新宿鮫XI』を引き継いだ物語となっていた。日本に帰国した中国残留孤児の二世、三世によって構成されるネットワーク「金石(ジンシ)」。その組織の幹部集団「八石」のひとりが、警視庁公…

★岡里幸助『SF黎明期 未踏の時代を歩く』BOOK&MAGAZINE社

岡里幸助『SF黎明期 未踏の時代を歩く』BOOK&MAGAZINE社を読了。 少年雑誌に掲載されたSF関連の図解特集ページ等の紹介をメインにしながら、SFマガジンの初代編集長である福島正実らがそこにどうかかわっていたかを辿るという労作。とにかく、昭和40~44年あ…

★狂徒

台湾のアクションクライム映画『狂徒』を観る。 暴力事件でバスケットボール界を追放された元バスケットボールの花形選手だったレイ(林哲熹/リン・ジャーシー)。怪我をさせた相手の治療費を払うために、いまでは自動車窃盗団の下働きのようなことをしてい…

★イップ・マン 立志

『イップ・マン 立志』を観る。原題は「葉問宗師覚醒」。 ドニー・イェンの『イップ・マン』のヒットを受けて、中国でもその柳の下のドジョウを狙ったパチモン映画が量産されているようで、続々とレンタルビデオショップに「イップ・マン系列」のソフトが並…

★ジョー・R・ランズデール『バッド・チリ』角川文庫

ジョー・R・ランズデール『バッド・チリ』角川文庫を読了。 『凍てついた七月』がハップ&レナードシリーズ4作目と思い込んでいて、それがなければ本書を読むわけにはいかないと思っていたのだけれど、実は『凍てついた七月』はシリーズ作品ではないと知っ…

★CRUSH KONG CURLY

フィリピン映画『CRUSH KONG CURLY(2021年)』を観る。 エラ(AJ・ラヴァル/AJ Raval)は、自分のエロティックな動画を配信するサイトを運営して大人気となっていて、そこからそれなりの収入も得ている。大家でありエラの友人でもあるキップ(チャド・キニ…

★RRR

話題のインド映画『RRR』を観てきた。言わずと知れた『バーフバリ』の監督の最新作だ。 映画があまりにも圧倒的すぎて、すっかりエネルギーを搾り取られてしまう。もうね、映画の熱量が半端なさすぎて、映画が終わったときにはぐったりと疲れてしまった。…

★消えゆく燈火

東京国際映画祭にて香港映画『消えゆく燈火』を観る。 香港という街をあれほどまでに魅力的にしていたネオンが法律によって規制され、いまではあらかた消え失せてしまっているのだという。長いこと香港に行っていないので、ぜんぜん知らなかった。 そのネオ…

★波の去るとき

東京国際映画祭にてフィリピン映画『波の去るとき(Kapag Wala Nang Mga Alon)』を観る。 作品がめちゃくちゃ長いことで有名なラヴ・ディアス監督の最新作で、今回の上映時間は188分。一昨年の東京国際映画祭で上映された『チンパンジー属』の157分に比べれ…

★神探大戦

東京国際映画祭にて香港映画『神探大戦』を観る。 『MAD探偵~7人の容疑者~』の続篇というので、事前に再視聴しておきたかったのだけれど、アマプラでもネトフリでも配信はなし。しかも、近所のゲオにも在庫はなし。どんな内容だったか、まるっきり覚えてい…

★樋口修吉『銀座ミモザ館』集英社

主人公は昭和7年生まれの勇作。東京大空襲で家族を失った彼は、銀座の「クラブ・コブラ」という店でバーテンダー見習いとして働き始める。勇作のまわりには、店の女性経営者であるトニ、トニとは腐れ縁の江頭、トニの叔父の与四郎、そして店に出入りするあや…

★真崎守『ホモ・ウォラント』学研

自分が子どもの頃、学習誌に連載されていたのを読んでいて強烈な印象を残した作品だったのだけれど、その後、自費出版本でダイジェスト版を読むことができたっきり、完全な幻の作品となっていたマンガ。それが、とっくに電子書籍になっていただなんて、ぜん…

★横田順彌『謎の宇宙人UFO』角川文庫

この表題作は中学生の時に授業中にSFマガジンで読んで、あまりの面白さに友人たちにも読ませたという作品である。が、今回約半世紀ぶりに読んで、ぜんぜん作品世界に入り込めなくて、読み終えるのにたいそう時間がかかってしまった。さすがに中学生の時の…

★BARUMBADINGS

フィリピン映画『BARUMBADINGS』を観たのだけれど、なんというか、実に変な映画だった。 監督は世の良識派の人々が眉をひそめるであろう映画ばかりを撮っているダリル・ヤップ。本作も、真面目な映画ファンなら、のきなみ眉をひそめるような映画だった。 幼…

★Greed

フィリピンホラー映画界の巨匠、ヤム・ララナス監督の『Greed』を観る。 貧しい農村地帯に暮らすキチ(ナディン・ルストレ)は、父親の度重なる暴力を避けて、恋人のトミ(ディエゴ・ロイザガ)の家に逃げ込んでいた。 トミは痩せた土地で親友のダドン(ジェ…

★Island of Desire

【Island of Desire】2022年 監督:ジョエル・ラマンガンキャスト:クリスティン・ベルマス、ショーン・デ・グズマン 若き人妻のマルタ(クリスティン・ベルマス/Christine Bermas)は、死産を乗り越えることができず、不眠に悩まされていた。夫のカルロ(…

★A HARD DAY

フィリピン映画『A HARD DAY(2021)』を観る。 母親の葬儀のために車を走らせている刑事のヴィリオン(ディンドン・ダンテス/Dingdong Dantes)に、「内偵が入った」と同じ部署の刑事からと連絡が入る。彼らは賄賂を受け取ってヴィリオンのデスクにその金…

★アンドレ・ブルトン『ナジャ』白水Uブックス

アンドレ・ブルトン『ナジャ』白水Uブックスを読了。 むかし、「若い頃、わたしはナジャのような女と呼ばれたことがあるのよ」と僕に言った女性がいた。それがずっと印象に残っていて、いつか『ナジャ』を読もうと思っていたのだけれど、なかなか機会がない…

★Kubot: The Aswang Chronicles 2

【Kubot: The Aswang Chronicles 2】2014年 監督:エリック・マッティキャスト:ディンドン・ダンテス、イザベル・ダザ 【Kubot: The Aswang Chronicles 2】のポスター 日本でもビデオリリースされている『バトル・オブ・モンスターズ(Tiktik: The Aswang C…

★ブレージング・サドル

メル・ブルックスの『ブレージング・サドル』を観る。 久しぶりに観たのだけれど、よくまあこんなくだらない映画を撮っていたものだと感心してしまう。そして、その世にもくだらない映画を映画館に観に行っていたむかしの自分を褒めてやりたくなる。 西部劇…

★プロデューサーズ(1967年)

メル・ブルックス監督の『プロデューサーズ(1967)』を観る。 いままでは吹き替え版を繰り返し繰り返し観ていたのだけれど、今回初めて字幕版で観てみた。いやあ、字幕版でもめちゃくちゃ面白いや。やっぱり、何度も何度も吹き出してしまう。 出資金を集め…

★グエムル 漢江の怪物

韓国映画『グエムル 漢江の怪物』を観る。 在韓米軍が大量に漢江に廃棄したホルムアルデヒドによって誕生した怪物〈グエムル〉によって娘を攫われた家族が、娘を取り戻すために怪物に挑むという怪獣映画。監督は『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ、…

★ヘルハウス

リチャード・マシスン原作のホラー映画『ヘルハウス』を観る。 1973年の作品。もう半世紀前の作品だ。『エクソシスト』が社会的問題となるほどの大ヒットを飛ばし、空前のオカルト映画ブームが巻き起こった1974年に、この作品も日本で公開された。僕は、ちょ…

★樋口明雄『南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山』徳間文庫

樋口明雄『南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山』徳間文庫を読了。 かつて北岳で事件に遭遇したトラウマを克服すべく再び北岳にやってきたアイドル歌手と、すでに頂点を過ぎてしまったベテラン大衆小説作家が、ひょんなことから一緒に北岳の頂上をめざすこ…

★バタフライ・ラヴァーズ(2008年)

香港映画『バタフライ・ラヴァーズ』を観る。 中国版ロミオとジュリエットとして有名なストーリーで、過去に何度も映画化されている。1994年にはツイ・ハーク監督がニッキー・ウー&チャーリー・ヤン主演で撮っていたりもするが、今回観たのはジングル・マー…

★スローターハウス5(映画)

原作を読み終えた勢いでジョージ・ロイ・ヒル監督の映画『スローターハウス5』を観る。 原作にかなり忠実に映画化されているものの、こうして観ると、原作になかったエピソードが映画版ではけっこう付け加えられていることがわかる。ビリーの妻が、ことある…

★スローターハウス5(小説)

カート・ヴォネガット・ジュニア『スローターハウス5』ハヤカワ文庫SFを読了。 映画の方を何度も観ているので、なんとなく映画の内容を活字で追体験しているような印象になってしまったが、小説は小説で面白かった。時間軸の中をあっちこっち飛びながらビ…

★陰陽師:二つの世界

Netflixにて中国映画『陰陽師:二つの世界』を観る。 妖怪と人間の混血という出自を持つ安倍晴明。彼は、かつて世に混乱をもたらした大妖怪「相柳」を封じ込めた鱗石を守るため、幾多の陰陽師が暮らす陰陽寮で仲間たちとともに修業をしていたが、その出自ゆ…

★アイアン・スカイ ディレクターズ・カット版

アマゾンプライムビデオにて『アイアン・スカイ ディレクターズ・カット版』を観る。 月の裏側にナチスが基地を作っていて、そこから地球攻撃の宇宙船が大挙飛来してくるというもの。 面白い映画と話題になっていたのは知っていたが、もっとチープな映画かと…