★岡里幸助『SF黎明期 未踏の時代を歩く』BOOK&MAGAZINE社

岡里幸助『SF黎明期 未踏の時代を歩く』BOOK&MAGAZINE社を読了。

 少年雑誌に掲載されたSF関連の図解特集ページ等の紹介をメインにしながら、SFマガジンの初代編集長である福島正実らがそこにどうかかわっていたかを辿るという労作。とにかく、昭和40~44年あたりの少年マガジン、少年サンデーなどの少年誌に掲載された図版の再録が大量にあって、これを見ているだけでめちゃくちゃ楽しくなってくる。よくまあ、これだけの資料をかき集めたものと、ひたすら驚嘆する。老眼ゆえに再録されている図版の細かい文字が読めないのが悔しいかぎりだ。
 ただ、部分的に掲載されている図版と、そこについている文章とがうまくリンクしていないと感じる箇所があった。図版と離れて日本SFの当時の状況を描こうとしたためと思うのだけれど、読み物としても面白い内容なので、そこは図版を減らして文字メインにしてもよかったのかもしれない。とはいえ、図版を減らしてほしくないという欲求もあり、非常に悩ましいところではあるのだけれど。
 いずれにしても、ページをめくるたびに楽しくなること間違いなしの自費出版本である。

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