★ジョー・R・ランズデール『バッド・チリ』角川文庫

 ジョー・R・ランズデール『バッド・チリ』角川文庫を読了。


 『凍てついた七月』がハップ&レナードシリーズ4作目と思い込んでいて、それがなければ本書を読むわけにはいかないと思っていたのだけれど、実は『凍てついた七月』はシリーズ作品ではないと知って遠慮なく手を出すことにした。
 相変わらず下品で、相変わらず面白い。そして、相変わらず痛そうな描写が活き活きとしていて、読んでいて顔をしかめてしまう。
 そして、驚くほどエッチなヒロインが登場してきて、その壮絶な過去に戦慄する。よくまあ、こんなぶっとんだキャラクターを創造するもんだ。あまりにも魅力的なキャラクターなもんだから、ある場面では凍りついてしまったぞ。思わず「そりゃないだろう」と思ったが、そりゃなかったのでけっこうほっとした。
 しかし、シリーズの翻訳が途切れてしまっているということは、売れなかったんだろうなあ。こんな面白いシリーズなのに、実にもったいない。どこか別の出版社でシリーズ1作目から出してくれないかなあ。角川文庫の翻訳、シリーズ3作目が最初に出て、次に2作目が出て、4作目、5作目、7作目が出るという実に変則的な出方をしたので、シリーズ1作目はついに翻訳されていないんだよなあ。6作目も8作目以降も出ていないんだよなあ。
 ランズデールには『Tarzan: The Lost Adventure』なんて作品もあるというので、これまたすごく読んでみたいのだけれど、どこも訳してくれないよなあ、きっと。