【読書】ジョー・R・ランズデール『テキサスの懲りない面々』角川文庫

 ジョー・R・ランズデール『テキサスの懲りない面々』角川文庫を読了。
 悲しいかな、これでハップ&レナードシリーズの翻訳は全部読み終えてしまった。こんなに面白いのに、なんで全作品が訳されなかったんだか。ま、そんなに売れなかったってことかな。本当にめちゃくちゃ面白いのに。
 ひょんな巡り合わせで暴漢に襲われている少女を救ったハップは、礼として渡された大金を手にして、相棒のレナードとカリブ海クルーズに繰り出すことになる。だが、相変わらずトラブルに愛される男ハップは、メキシコでとんでもないトラブルに巻き込まれてしまうのだった。なんとかそのトラブルを後にしてテキサスに帰るハップだったが、トラブルはハップをテキサスにまで追いかけてくる。かくして、ハップとレナードはメキシコマフィアの大物と対峙することになるのだが……。
 シリーズの過去作品に出てきた魅力的なメンバーがあれこれと登場してくるシリーズ総集編的な作品である。相変わらず、グイグイと読ませる。下品な減らず口が飛びかい、それをヘラヘラしながら読んでいくと、いつの間にか主人公たちはどんどんトラブルの深味にはまっていく。いやあ、面白かった。
 実は、『人にはススメられない仕事』と本作の間には未訳作品が1冊あるのだけれど、それはアンドリュー・ヴァクスと共作した短篇とか、ランズデールによるハップ・コリンズとレナード・パインへのインタビューなどで構成された本であるらしい。なので、第1作が訳されていないだけで、本作でシリーズも一段落ということになる。
 が、本作刊行の7年後にシリーズが再開され、まだまだ続いているらしい。いまさら翻訳してもらえそうにないけれど、読みたいなあ。