
宮島未奈『成瀬は都を駆け抜ける』新潮社を読了。
京都大学の学生となった成瀬あかりを主人公にした「やすらぎハムエッグ」「実家が北白川」「ぼきののか」「そういう子なので」「親愛なるあなたへ」「琵琶湖の水は絶えずして」を収録。成瀬が主人公ではあるのだけれど、いずれも成瀬の周辺にいる人物の視点で描かれている。相変わらず成瀬はかなり個性的なキャラクターではあるのだけれど、前2作に比べると多少はおとなしくなってきた気がする。こちらが、成瀬のキャラに慣れてしまったせいだろうか。
いずれも楽しく読める作品であったのだけれど、森見登美彦作品にリンクした「実家が北白川」、簿記に挑戦するユーチューバーが成瀬に出会う「ぼきののか」あたりが特に楽しかった。
成瀬のシリーズはこれで完結とのこと。成瀬のキャラクターに頼りきったシリーズなので、惰性で続けることなくあっさり終えるというのは正解だろう。だけど、何年かたったところで、社会人になった成瀬に再会してみたいものである。