【読書】宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』新潮社

 宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』新潮社を読了。
 地元で活躍している人を調べて発表するという学校の課題に、成瀬と島崎のゼゼカラを選んだ小学校4年生の北川みらいが、成瀬に弟子入りするまでを描く「ときめきっ子タイム」。
 成瀬の大学受験にふりまわされる父親の困惑を描く「成瀬慶彦の憂鬱」。
 利用するスーパーマーケットで繰り返しクレームの投書をしてしまう女性が、その店でアルバイトをする成瀬から万引きをつかまえる協力を依頼されてしまうという「やめたいクレーマー」。
 成瀬と一緒にびわ湖大津観光大使に就任した、地元の名家の娘の篠原かれんが、成瀬の言動にとまどいながらも、いつしか成瀬に感化されて自分を取り戻していく「コンビーフはうまい」。
 大晦日に「探さないでください」の置き手紙を残して行方不明になった成瀬を、かかわりのあるメンバー総動員で捜し回る「探さないでください」。
 大喜びして読んだ『成瀬は天下を取りにいく』の続篇である。どれもこれも面白い。成瀬のキャラに大きく依存したシリーズであるのだから、どこかでパターンに陥って飽きるのかと思いきや、ぜんぜんそんなことはなかった。とりわけ楽しんだのが「探さないでください」。これは笑った。予想だにしないとんでもない展開になっていくのだけれど、成瀬の父以外はみんながみんな、「成瀬だから」で納得してしまうのがおかしい。

 まだしばらくは、このシリーズで楽しませてもらいたいものだ。