【読書】ジェレミー・ロビンソン『プロジェクト・マイゴ』角川文庫

 ジェレミー・ロビンソン『プロジェクト・マイゴ』角川文庫を読了。
 そこそこ面白かった怪獣小説『プロジェクト・ネメシス』の続篇で、しかもハヤカワ文庫から出ている『怪物島 ヘル・アイランド』ともリンクしている怪獣バトル小説である。
 が、これがぜんぜんのれなかった。2~3ページ読むたびに睡魔に襲われるということの繰り返しで、読み終えるのにどれだけ時間がかかったことか。派手な怪獣小説なのだから、もっとスイスイ読めても良さそうなものなのだけれど、主人公の一人称形式の減らず口文体がどうにも自分にはあわなかった。どうも著者は、緊迫した場面で主人公の内心における余裕の減らず口を描くことがかっこいいと思っているようなのだけれど、徹頭徹尾これをやられるのは実にうざったい。あるいは、絶体絶命の場面でちょいとしゃれた言い回しを入れることが効果的だと思っているようなのだけれど、それもいらないからね。
 さらに言うなら、怪獣と精神を同期させてコントロールする新兵器とかも、あまり物語を盛り上げる役にはたっていないと思う。
 なんだろう。どうして、もっとシンプルで面白い怪獣小説というのが出てこないのだろう。
 調べてみると、この著者、本書を発行した2013年には複数のペンネームを駆使して自費出版を含む9冊の本を出していて、ずっとそんなペースで書き殴っているらしい。そりゃ、いまいちな作品であっても仕方がないよね。