【映画】ときめきサイエンス/エレクトリック・ビーナス

 ジョン・ヒューズ監督の『ときめきサイエンス/エレクトリック・ビーナス』を観る。
 高校生のゲイリー(アンソニー・マイケル・ホール)とワイアット(イラン・ミッチェル=スミス)は、女子には見向きもされないさえない二人組。そんな2人が、パソコンに理想の女性のデータを片端から入力して、電話回線を通じてスーパーコンピューターのパワーをハッキングしたところ、なんと本当の美女(ケリー・ルブロック)が現れてしまう。2人はその美女に「リサ」という名前をつけて、さっそく彼女を引き連れてバーに乗り込んだりするのだけれど、しだいにリサはいまひとつ情けない2人をなんとかしようと暴走を始めてしまう。
 「パーティに来てくれる友だちなんていない」という2人を無視してワイアットの自宅でのパーティを企画すると、リサを目当てのクラスメートたちが続々と押しかけてくる。さらにはリサの仕組んだ暴走族がバイクに乗ったままパーティ会場であるワイアットの家に乗り込んできて大暴れを始めるのだが……。
 年上の美女が惚れてくれるという、男の子の夢をそのまま映画にしてしまったというのが本作。パソコンごときでこんな美女を作れるわけないじゃん、などという疑問はあっさりスルーしてしまうのがさすがはジョン・ヒューズ。そんなことはどうでもいいのだ。
 そして、やっぱりパーティでしっちゃかめっちゃかな展開になるというのがジョン・ヒューズ。このあたりは『すてきな片想い』と一緒で、親が帰ってきたら目をまわすこと間違いなしの勢いで家の中をメチャクチャにしていく。もっとも、こちらは『すてきな片想い』とはレベルが違う。なにしろ、床下から現れた核弾頭ミサイルが屋根を突き破ってしまうし、暴走族は壁を突き破って家の中に飛び込んでくるし、もうめちゃくちゃのやりたい放題。
 というわけでいかにもジョン・ヒューズ監督らしい作品ではあるのだけれど、『すてきな片想い』『恋しくて』のような青春の甘酸っぱさ、切なさはすっぱり切り落としているので、そこはちょいと物足りない。ただし、このテイストは『ホーム・アローン』に引き継がれて大ヒットを飛ばすことになるのだけれど。そういえば、アンソニー・メイケル・ホールって、『ホーム・アローン』のマコーレー・カルキンにちょっと似ているかも。
 ちなみにポスターのケリー・ルブロック、ぜんぜん美人に見えないのは実に残念。若い男の子の妄想炸裂の美女なのだから、もっと魅力的に写った写真を使ってほしかったぞ。