【映画】ムンナー・マイケル

 インド映画ムンナー・マイケル』を観る。
 子どもの頃からダンスに夢中で、クラブでのダンスバトルで稼いでいたムンナーは、ギャングのボス、マヘンドラから自分のダンスの教師になってくれと懇願される。マヘンドラは、ダンサーのドリーに心から惚れ込んでいて、彼女の前でダンスを披露して求愛しようと計画していたのだ。レッスンを重ねるうちにマヘンドラとの友情を深めていくムンナーだったが、マヘンドラの恋のキューピッド役を務めるうちに、自分もドリーに心を奪われていく。だが、マヘンドラへの友情のために自分の恋心を押さえ込んで、ドリーをマヘンドラのもとに連れて行く。マヘンドラは、ドリーに豪華な部屋、豪華な車をプレゼントして彼女の気を引こうとするのだが、ダンスコンテスト番組「ダンス・インディア・ダンス(DID)」で優勝してダンサーとして世に出るという夢を持ったドリーはマヘンドラのもとを逃げ出すのだった。
 マヘンドラからドリーを連れ戻すように依頼されたムンナーは、友情と恋愛の板挟みになりながらも、ドリーの夢を叶えるために動き出す。だが……。
 主人公のムンナーを演じているのは、『タイガー・バレット』『WAR ウォー!!』といったアクション映画で華麗なアクションを披露しているタイガー・シュロフ。さすがにダンスもキレッキレで、その身のこなしの素晴らしさは半端ない。また、格闘シーンもたっぷりと用意されているのだけれど、もちろんそこでのアクションも素晴らしいのひとこと。跳び蹴りの美しさでいったら、ドニー・イェンと双璧をなすといっていいだろう。
 ドリーを演じているニディ・アグルワールは、本作がデビュー作であるらしい。美人だし、ダンスもうまいし、これではギャングのボスが高校生のようにのぼせあがってしまうのも無理はない。
 マヘンドラを演じているのはナワーズッディーン・シッディーキーという俳優とのこと。本来は、冷酷なギャングの役とかを演じている役者さんなのでしょうけれど、本作では冷酷になりきれない、ちょっと憎めないキャラクターを演じている。エンドクレジットについているNGシーンには、慣れないダンスを頑張っているシーンなども入っていて、思わず好感度がアップしてしまった。
 先日観た『マイネーム・イズ・ハーン』は、歌と踊りのシーンを封印していたけれど、本作は歌と踊りのシーンがこれでもかこれでもかと詰め込まれている。なにせ、題材がダンスなのだから、これっぽちも遠慮することなくダンスシーンを盛り込めることができるのだ。これが実に楽しい。優れた脚本でじっくり感動させるのもインド映画なら、こうして豪華絢爛なダンスシーンで魅了してくれるのもインド映画なのだ。
 それにしても、1回のダンスシーンの撮影のためにヨルダンのペトラ遺跡でのロケとか、ローマのコロッセウムでのロケとかをやってしまうのだから、インド映画のダンスシーンにかける予算のかけかたは半端ないよね。