青木冨貴子『ガボものがたり ハミル家の愛犬日記』新潮社を読了。
先日読んだ『アローン・アゲイン 最愛の夫ピート・ハミルをなくして』では、夫であるピート・ハミルとの日々が描かれていたが、こちらは愛犬ガボとの日々を描いている。結婚2年目の誕生日にピート・ハミルから贈られた黒いラブラドール・リトリーバー、ガボ。片手で抱きかかえることができる仔犬だったガボは、みるみるうちに大きく育ち、ピート・ハミルが甘やかしてあれこれ食べさせてしまうこともあって50キロを超える肥満児となってしまう。ニューヨークで大きな犬を飼えるアパートを探すのは大変で、まずはその苦労から始まって、ガボの脱走やらなにやら、犬を飼うことでの様々なエピソードが描かれていくのだけれど、それと同時に、アメリカにおけるペット事情があれこれと描かれていく。いまでは日本でも当たり前のように存在しているドッグ・ランも、ちょうど誕生したばかりで、その誕生にかかわるエピソードなども非常に面白い。旅行中にガボを預かってもらう相手を探して、結局、カール・ハイアセンに預かってもらうのだけれど、まさかこんなところでカール・ハイアセンの名前を見るとは思わなかった。ピート・ハミル、実に交友範囲の広い人だったのだ。
1997年発行の本なので、ガボはとっくに天に召されてしまったことだろうけれど、ガボの子孫たちはきっとアメリカのあちこちで元気に走り回っていることだろう。