【読書】中村計『笑い神 M-1、その純情と狂気』文藝春秋

 中村計『笑い神 M-1、その純情と狂気』文藝春秋を読了。
 漫才の頂点を決める大会「M-1」の歴史を、〈笑い飯〉というコンビを中心として描いたノンフィクション。
 実は〈笑い飯〉については、「鳥人」というネタだけはやたらとシュールで面白かったという印象は残っているものの、それ以外のネタについてはほとんど記憶に残っていないし、そんなに面白いコンビという記憶もなかった。また、その〈笑い飯〉と並んで描かれている〈千鳥〉についても、なんだか変なネタをやって出てきたという強烈な印象はあっても、さほど面白いという感じもなかった。
 ところが本書を読むと、プロの間ではやたらと別格的に評価の高いコンビであると知り、いささか驚いた。そうなのか。
 読んでいるうちに、笑いに取り憑かれた彼らの狂気に圧倒されていく。そこに、〈麒麟〉〈チュートリアル〉〈フットボールアワー〉〈ブラックマヨネーズ〉〈キングコング〉〈パンクブーブー〉〈NON STYLE〉などが次々と登場してきて「M-1」の歴史を作っていく。その背後にあった彼らの異様な情熱、テレビを観ているだけでは知ることのなかった数々のドラマを知ると、「M-1」というイベントのもの凄さ、奥の深さがどんどん浮かび上がってきて、ゾクゾクとさせられる。
 いやあ、面白かった。

 読み終えるなり、YouTubeで〈笑い飯〉の漫才をいくつか続けて観たのだけれど、「鳥人」にはやはりたっぷりと笑わされた。あれは、すごいな。