【映画】天山玉女剣

 1993年の台湾の武侠映画『天山玉女剣』を観る。

 映画は、若い夫婦と、その夫婦の幼い娘を抱えた男性の4人が何者から追われている場面で始まる。アオバという邪悪な武術者が、夫婦の持つ武術書を奪うべく、刺客をさしむけていたのだ。逃げながら夫婦と敵との間に激しい闘いが繰り広げられるが、夫は敵の剣に倒れ、それに動揺した妻も敵に捕らわれてしまう(この妻がカラ・ワイもしくはベティ・ウェイもしくはクララ・ウェイ)。残った男は幼い娘を抱えたまま逃げるが、追い詰められて崖から飛び降りてしまう。
 それから18年の歳月が流れる。生き延びていた幼い娘のルンアルはいまでは立派に育ち、男装して、父の仇であり母を捉えている男を捜し求めていた(このルンアルを演じているのが黄秋燕(ホァン・チューイェン)。『少林寺2』『阿羅漢』に出演し、一時期はジェット・リーと結婚していた女優)。
 そこに、しつこく彼女に弟子入りしようとつきまとう男ワンが現れ、このワンの手助けで探し求める仇、アオバの住む屋敷に入り込むことに成功する。

 このアオバ、武術の達人なのだが、性的に不能で、そのために妻は欲求不満から男を求め、その妻を男から遠ざけるために屋敷の使用人は全員がゲイであった。ところがそこにワンという男性が入り込んできたものだから、妻はなんとかワンをベッドに連れ込もうとする。それを利用してワンは奪われた武術書を取り戻すことに成功する。
 一方、奪われた武術書と囚われの母を探していたルンアルは、屋敷に出入りしていた女剣士(シンシア・カーン)と出会い、親しくなっていく。実はこの女剣士と彼女の連れの男性は、ルンアルの母と同門の武術家なのであった。
 だが、正体のばれたルンアルはアオバに襲われ、命からがら屋敷から逃げ出す。彼女の武術では、アオバには勝ち目はなかった。
 だが、取り戻した武術書には玉女剣法の修得方法が記されていた。その修得方法とは、男と交わって処女を捨てるということであった。そのことを知ったルンアルは、ワンを押し倒して手込めにするのであった!
 かくして無敵の剣法を手に入れたルンアルは、屋敷から母を救い出し、母、女剣士とともに、アオバに向かっていくのであった!!

 いや、なんというか、予想だにしなかった展開に呆れてしまうのだけれど、弟子を手込めにして剣の極意に目覚める描写がぜんぜんギャグじゃないってのが凄い。ワンというキャラクターがコミカルなパートを受け持ってはいるものの、それ以外はすべてマジな展開なのである。そして、こんなストーリーでありながら、アクション場面はめちゃくちゃ充実している。なにせ、カラ・ワイ、シンシア・カーン、ホァン・チューイェンと、本気で動ける女優を揃えているのだから。しかも、武術指導を担当しているのは郭振鋒(フィリップ・クォック)なのである。そりゃ、アクションシーンに力が入っているはずだよね。
 監督は黃建勳(他にどういう作品があるのかは、よく知らない)。