【映画】ミス・シャンプー

 東京国際映画祭にて、台湾映画『ミス・シャンプー』を観てきた。原題は「請問,還有哪裡需要加強」。「かゆいところはありませんか」というようなニュアンスのタイトルとのこと。
 何者かに雇われたタイ人の集団に襲われ、血まみれになって美容院に逃げ込んできたヤクザのタイ(洪春風)。マネキン相手にカットの練習をしていた美容師見習いのファン(ビビアン・ソン/宋芸樺)に匿われて九死に一生を得たタイだが、それをきっかけにファンにすっかり惚れ込んでしまう。美容院にやってきてファンにカットを頼むと、めっちゃ変な髪型になってしまうのだけれど、タイは気にしない。一人前の美容師になりたいのだけれど、練習が足りなくてとファンがぼやくと、自分の手下から通りすがりの人間から、かたはしから脅して美容院に送り込み、おかげで手下はみんな個性的な髪型になってしまうのだけれど、お店は大繁盛。
 ボスが殺されて組織が大変なことになっているというのに、恋愛にのめり込んでしまったアニキにみんなは「そんなんじゃダメだろう」と思いつつも、みんなアニキのことが大好きなので、ついついつきあってしまう。
 ついに2人はつきあうことになるのだけれど……。
 いやあ、笑った笑った。下品な下ネタをあれこれ盛り込みつつも、強面のヤクザが恋に落ちたら意外と純情な男だったというギャップが産み出すあの手この手のギャグのつるべ打ち。そのくせ、血なまぐさい抗争なんかもあったりして、かと思うと野球バカの泣かせるエピソードも盛り込み、そしてまたしても血まみれに。その血まみれの絶体絶命の場面で、目と目で会話をかわすというネタでくすぐったりして、最後にはとんでもないネタが炸裂。いや、確かに伏線はあったよ。あったけど、ここでそれが活きてくるとは思わないじゃん。いやあ、ビックリしたぞ。
 エンドクレジットが始まるか始まらないかというタイミングで席を立って帰っていった観客が数名いたけれど、なんてもったいない。そのあとの衝撃の展開を見逃してしまうなんて。しかも、エンドクレジットの最後の最後で、監督が持ち込んだ掟破りの内輪ネタでまたしても爆笑。いやあ、素晴らしい。これは、日本で一般公開するべきなんじゃないかな。絶対に受けると思うぞ。
 あと、ビビアン・ソンがめちゃくちゃ可愛いってことと、タイの相棒の高脚仔(クー・チェンドン/柯震東)がすっげえかっこいいってことは、ちゃんと書いておかなくてはいけないな。
 監督は『あの頃、君を追いかけた』の九把刀(ギデンズ・コー)。