★The Witch 魔女

 韓国映画『The Witch 魔女』を観る。

 謎の組織から血まみれで逃げ出した8歳の少女。酪農家の夫婦に拾われてその家の子どもとして育てられるのだが、18歳になった時、その少女が優勝賞金5億ウォンのオーディション番組に出演したことから逃げ出した組織に発見されてしまう。幼い頃の記憶を失っていた少女は、理由もわからないままその組織に追われることになる。だが、実はその少女は、遺伝子操作によって生み出された特殊な能力を持つ人間兵器だったのだった。

 基本設定は『ストレンジャー・シングス 未知の世界』などと同じで、正直、よくある設定ではある。だが、脚本がよく出来ていて、途中でめちゃくちゃ驚かされる。そして、演出がことごとくすごい。もう、ちょっとしたショットのひとつひとつでゾクゾクさせられてしまう。アクション演出もみごととしか言いようがなく、とにかく圧倒的。ちょっと外してしまえば「ドラゴンボール」となってしまう派手なアクションなのに、しっかりとリアルに描かれているのだ。
 また、登場人物のキャラクターもしっかり作りこまれていて、作品に厚みを与えている。主人公を拾って育てる両親、彼女を支える陽性の友人、そして彼女を生み出した科学者、同じように遺伝子操作で作り出された者たちなどなど、それぞれのキャラがみごとにたっているのだ。
 ラストで「えっ、これってどういう意味?」という展開になるのだが、現在、続編の『THE WITCH/魔女 -増殖-』が公開中なので、そこで明らかになるのだろうか? さらにはパート3の予定もあるようなので、そちらに続くのかもしれない。

 監督は『新しき世界』のパク・フンジョンと必ず紹介されているのだけれど、『新しき世界』を観ていないのでなんともいえない。こうやって紹介されるということは『新しき世界』という映画も凄いのだろうか。
 主人公を演じているのはキム・ダミという女優さんで『梨泰院クラス』で有名になった女優さんとのこと。どちらかというと、地味めの顔立ちの女優さん。血まみれで目を見開くシーンで、思わず『キャリー』のシシー・スペイセクを思い出してしまった。
 少女たちを作り出した科学者を演じているチョ・ミンスも存在感たっぷり。
 少女同様に遺伝子操作で生み出された人間兵器の若者を演じているチェ・ウシクも雰囲気があって実によかった。『パラサイト 半地下の家族』でソン・ガンホの息子を演じていた役者さんとのこと。

 とにかく、すごい映画を観てしまったと興奮させられた。しかし、いかにも韓国映画で、血しぶきの量が半端ない。血しぶきの苦手な人は遠慮しておいた方がいいかもしれない。