【映画】エスター

 アメリカのホラー映画エスター』を観る。話題になっていたことは知っていたし、ずっと気になっていた作品ではあるのだけれど、ビデオのパッケージから少女版『オーメン』のような作品であり、かなり後味の悪い作品だろうと推測し、なんとなく手を出しかねていた。上にビデオパッケージの写真を載せておいたけれど、ぜんぜん観たい気持ちにならないよね、このパッケージじゃ。
 しかし、その前日譚が映画化されたので、いよいよ覚悟を決めて観てみたという次第。
 3人目の子どもを死産で失ったケイトは、その心の傷をずっと引きずっていたが、失った子どもへの愛を他の子どもにそそぐことで乗り越えようと、エスターという9才の少女を養子としてひきとる。だが、そのエスターによって、家族はどんどん追い詰められていくのだった……。
 という基本設定だけを説明すると、非常にシンプルなホラー映画である。よくある設定じゃんと思ってしまう。が、このエスターが家族を追い詰めていく過程が実に禍々しく、実に怖い。難聴の幼い妹や、エスターの悪事の証拠をつかんだ兄を恐怖で支配し、エスターを疑う母親をどんどん孤立させて、父親にだけはいい顔をしてとりこんでいく。そのあたりの脚本が実によくできていて、孤立していく母親の焦燥感が観ているこちらにもどんどん伝染していく。
 が、それだけではなく、そのあとにとんでもないネタが待ち構えていたのだ。いやあ、びっくりした。なるほど、これは話題になるのがよく分かる。しかも、その驚きをネタバレなしに説明することは不可能なので、とにかくビックリするから観てよ、としか言いようがない。いま、Wikipediaを見たら、完全にネタバレしているので、未見の人は絶対に読まないように。
 エンドクレジットを見ると、製作にジョエル・シルバーの名前があってこれまたビックリする。てっきり、無名のプロデューサーによる低予算のホラー映画としか思っていなかったので。なんと、レオナルド・ディカプリオまでが製作に名を連ねているではありませんか。
 監督のジャウム・コレット=セラは、『ジャングル・クルーズ』『ブラックアダム』の監督とのこと。
 こうなったら、前日譚でもある続篇の『エスター ファースト・キル』も早く観なければ。