★ROOFTOP

 フィリピンのホラー映画『ROOFTOP』を観た。

 大学が2週間の夏季休暇に入り、他の学生たちが帰省する中、エリー(ライザ・セノン/Ryza Cenon)、ランス(マルコ・グマバオ/Marco Gumabao)、ウェイブ(エラ・クルーズ/Ella Cruz)、ジェシカ(レン・エスカノ/Rhen Escano)、マーティン(マルコ・ギャロ/Marco Gallo)、クリス(アンドリュー・ムラック/Andrew Muhlach)の6人は寮に残ることを選択していた。6人は学校の雑務のアルバイトをしているポール(ジェフリー・ケソン/Jeffrey Quizon)を巻き込んで屋上に上がる鍵を開けさせ、そこでパーティを始める。それに気づいて駆け付けた管理人のベン(アラン・パウルAlan Paule)をも買収してパーティを続けるが、6人の悪ふざけのせいで、ポールは屋上から転落してしまう。
 ランスたちは、あくまでも自分たちの関与しない事故として事件を隠蔽しようとするのだが、それが6人にとっての恐怖の始まりなのであった。

 非常にオーソドックスなストーリーのホラー映画である。この手の、これから人気が出るであろう若手スターを揃えたホラー映画というのは、世界中でよく撮られている。本作は、そうした映画の1本に過ぎない。
 だが、監督はフィリピンホラー映画の大御所、ヤム・ララナス(Yam Laranas)である。演出力が半端なく、けっこう怖いのだ。僕なども、ここぞという場面では、ついついパソコンの画面に身を乗り出して観てしまった。特にストーリーにひねりがあるわけではないのだけれど、これだけ怖がらせてくれれば充分だろう。映画館のスクリーンで観たならば、きっと難度も震え上がったことだろう。
 それに、出演している俳優の何人かはこれからが期待される若手どころか、すでに出演作の多い人気俳優だったりして、いわゆる若手の登竜門的なホラー映画とも一線を画している。
 例えば、エリーを演じるライザ・セノンは、数多くのテレビシリーズに出ている人気女優で、実のところ本作撮影時点ですでに30歳を超えている。よくまあ、女子大学生の役で、こうした若者向けのホラー映画に出たものだ。
 エラ・クルーズにしても、『Steal』『Gluta』といった数多くの主演作のある女優である。
 レン・エスカノも『それぞれの記憶(Untrue)』『Amnesia Love』など、多くの映画、テレビシリーズに出演してきているセクシー女優である。
 やっぱり、こうしたホラー映画には、恐怖に怯える女優の存在がとても大事なんだということを、あらためて納得してしまった。

 ちなみに、本作は本来なら2020年に公開されるはずの作品であったのだけれど、新型コロナウイルスの蔓延によって映画館が閉鎖され、そのまま公開が延期されていた作品であった。それが2022年にようやく映画館が再開され、その再開後に上映された最初のフィリピン映画が本作であったとのこと。公開前日には、学生や若いブロガーを招待した上映会が開催され、久しぶりに映画館のスクリーンで観るフィリピン映画ということもあって、絶賛を博したとのことだ。