読書

【読書】逢坂冬馬『歌われなかった海賊へ』早川書房

逢坂冬馬『歌われなかった海賊へ』早川書房を読了。 デビュー作の『同志少女よ、敵を撃て』が凄すぎたので、この著者は2作目を書けるのだろうか、どうあがいたところでデビュー作に匹敵する作品を書くことは無理なのではないだろうか、そう思っていた。 が、…

【読書】デイヴィッド・マレル『蛍』早川書房

デイヴィッド・マレル『蛍』早川書房を読了。 『ランボー』の原作者として知られる著者が、15歳の息子が癌で亡くなったときの体験を小説にしたもので、ロバート・ラドラム、スティーヴン・キングが絶賛している。なんとも不思議な小説で、ファンタジーの趣き…

【読書】ハモンド・イネス『怒りの山』ハヤカワ文庫NV

ハモンド・イネス『怒りの山』ハヤカワ文庫NVを読了。 第二次大戦中、ナチスの捕虜となり、麻酔を使わずに足を切断されるという拷問を受けた元パイロットのイギリス人ファレル。仕事で訪れたチェコで戦時中の友人のトゥチェックに会うのだが、その時から謎…

【読書】シャーリイ・ジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』創元推理文庫

シャーリイ・ジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』創元推理文庫を読了。 家族が食事に混ぜられた毒で惨殺された屋敷で、姉のコンスタンス、伯父のジュリアンと3人で暮らしている少女メアリ。家族殺害の疑いをかけられたことから、コンスタンスは村人との交…

【読書】ジョー・R・ランズデール『ロスト・エコー』ハヤカワ文庫HM

ジョー・R・ランズデール『ロスト・エコー』ハヤカワ文庫HMを読了。 子どもの頃の高熱が原因で、ハリーは不思議な能力を持つことになる。過去に暴力や恐怖に関係した物が発する音に触れると、その過去の出来事が見えてしまうのである。殺人事件のあった車…

【読書】岡本功司『人生劇場主人・尾崎士郞』永田書房

岡本功司『人生劇場主人・尾崎士郞』永田書房を読了。 『人生劇場』で知られる小説家・尾崎士郞と長年にわたって懇意な付き合いをしてきた著者が、自分の見聞きした尾崎士郞のエピソードを中心に描いた評伝。なので、作家デビューするまでの話は、比較的あっ…

【読書】須賀しのぶ『帝国の娘(上下)』角川文庫

須賀しのぶ『帝国の娘(上下)』角川文庫を読了。 面白い! 中世の西洋を思わせる架空の世界を舞台にした宮廷ドラマ。 少女カリエは、病に伏せる皇子アルゼウスとうり二つであったために、身代わりとして、皇位継承者を選定するための寄宿舎ともいうべき施設…

【読書】ジョー・R・ランズデール『テキサスの懲りない面々』角川文庫

ジョー・R・ランズデール『テキサスの懲りない面々』角川文庫を読了。 悲しいかな、これでハップ&レナードシリーズの翻訳は全部読み終えてしまった。こんなに面白いのに、なんで全作品が訳されなかったんだか。ま、そんなに売れなかったってことかな。本当…

【読書】ジョー・R・ランズデール『人にはススメられない仕事』角川文庫

ジョー・R・ランズデール『人にはススメられない仕事』角川文庫を読了。 クラブの用心棒をしながら、相変わらず自堕落な日々を過ごしているハップに、恋人のブレットが助けを求めてくる。売春婦をしている娘、ティリーが助けを求めているらしいというのだ。…

★リチャード・レイモン『殺戮の野獣館』扶桑社ミステリー

リチャード・レイモン『殺戮の野獣館』扶桑社ミステリーを読了。 謎の野獣が棲みついていると言われ、過去に何度も凄惨な殺戮事件の起きた「野獣館」。かつてその「野獣館」から命からがら生き延びたラリーは、彼を苦しめる悪夢を払拭するため、野獣を倒すた…

★樋口明雄『さよならの夏』徳間文庫

樋口明雄『さよならの夏』徳間文庫を読了。 お馴染み「南アルプス山岳救助隊K-9」の最新刊である。が、これは評価が分かれそうだ。 滑落して怪我をした女性を救難ヘリに託した南アルプス山岳救助隊の夏実は、その直後に頭上に輝くオーロラを見たかと思うと、…

★ゴード・ロロ『ジグソーマン』扶桑社ミステリー

ゴード・ロロ『ジグソーマン』扶桑社ミステリーを読了。 交通事故で最愛の妻と息子を亡くし、アル中のホームレスに落ちぶれた主人公。自分の人生に絶望して列車で自殺をしようとしたところに、右腕を200万ドルで売らないかと声をかけられる。再生医療の天才…

★久永実木彦『わたしたちの怪獣』創元日本SF叢書

久永実木彦『わたしたちの怪獣』創元日本SF叢書を読了。 表題作の他、「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」「夜の安らぎ」「『アタック・オブ・ザ・キラー・トマト』を観ながら」を収録。「わたしたちの怪獣」 家に帰ると妹が父親を殺害していて、なぜか東京には巨大な怪…

★トーマス・サヴェージ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』角川文庫

トーマス・サヴェージ『パワー・オブ・ザ・ドッグ』角川文庫を読了。 西部小説の名作ということで読みだしたのだけれど、娯楽小説としての西部小説ではなく、いわゆる文学作品なのでありました。正直、自分にはこの作品の良さが分からないし、ラストのオチも…

★高野史緒『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』ハヤカワ文庫JA

高野史緒『グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船』ハヤカワ文庫JAを読了。 月と火星に人類が進出しながらも、スマホはなく、インターネットは実用化されたばかりという世界に生きる夏紀。スマホも量子コンピュータもあるが、人類はいまだ月面にも火星に…

★フェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』創元推理文庫

フェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』創元推理文庫を読了。 薄い本なのだけれど、そこに15本の短篇が収録されている。それだけ、短い作品が収録されているということだ。小粒ながらもピリッと辛い山椒のような作品もあるが、中には意味のよくわから…

★ジョー・R・ランズデール『サンセット・ヒート』早川書房

ジョー・R・ランズデール『サンセット・ヒート』早川書房を読了。 『ムーチョ・モージョ』などのハップ・コリンズ&レナード・パインシリーズのハメを外したかのようないささか下品な作品を楽しんだあとで『ボトムズ』を読んだりすると、「おいおい、こいつ…

★亀和田武『夢でまた逢えたら』光文社

亀和田武『夢でまた逢えたら』光文社を読了。 なにかでこの本を読みたいと思ってブックオフオンラインに登録してあったのだけれど、入荷の連絡があった時には、なぜこの本を読みたいと思ったのか、その理由を完全に忘れ去っていた。それでも、亀和田武がかつ…

★澤村伊智『ばくうどの悪夢』角川書店

澤村伊智『ばくうどの悪夢』角川書店を読了。 兵庫県東川西市にある総合病院の産科入院病棟で、悲惨きわまりない大量殺人事件が発生する。牛刀、出刃包丁を持った男が、妊婦、看護師らを片端から襲って殺害したのだ。 それを契機に、少年、少女たちが悪夢を…

★マイクル・コナリー『正義の弧(上下)』講談社文庫

マイクル・コナリー『正義の弧(上下)』講談社文庫を読了。 本作の主人公はレネイ・バラードとハリー・ボッシュ。バラードが責任者となった未解決事件班に、ボランティアとしてボッシュが引き入れられる。未解決事件班の実績をあげるために、バラードは市会…

★澤村伊智『怪談小説という名の小説怪談』新潮社

澤村伊智『怪談小説という名の小説怪談』新潮社を読了。 「高速怪談」は、長距離ドライブの車に乗り合わせたメンバーが怖い話を披露していく話なのだけれど、最後で怖いオチがつく。収録策の中でもっともシンプルな作品ではあるのだけれど、シンプルなだけに…

★矢口進也『文庫 そのすべて』図書新聞

矢口進也『文庫 そのすべて』図書新聞を読了。 1979年発行の本で、その時点での文庫の歴史とか、文庫に関するトリビアとかをごっそり詰め込んだ一冊。いろいろと面白いネタが満載で、たとえば第二次大戦中の1941年に情報局から岩波文庫の文字サイズを8ポイン…

★マーク・グリーニー『アーマード 生還不能(上下)』ハヤカワ文庫NV

マーク・グリーニー『アーマード 生還不能(上下)』ハヤカワ文庫NVを読了。 民間軍事会社の警備員(要するに傭兵のようなもの)のジョシュ・ダフィーは、ベイルートでの任務で左脚を失い、スーパーの警備員として鬱屈した日々を過ごしていた。だが、偶然…

★ジャック・ケッチャム『老人と犬』扶桑社ミステリー

ジャック・ケッチャム『老人と犬』扶桑社ミステリーを読了。 老人が年老いた愛犬と釣りをしているところにショットガンを持った3人組の少年が現れ、金を出せと老人を脅かす。だが、老人がろくに金を持っていないことを知ると、腹いせに犬を射殺してしまう。…

★C・J・ボックス『熱砂の果て』創元推理文庫

C・J・ボックス『熱砂の果て』創元推理文庫を読了。 「猟区管理官ジョー・ピケットシリーズ」の最新作である。すでに本作がシリーズ何作目であるのか分からなくなってしまっているのだけれど、途中で刊行が危ぶまれながらも講談社文庫から創元推理文庫にレ…

★橘外男『蒲団』中公文庫

橘外男『蒲団』中公文庫を読了。 読書記録をチェックすると、橘外男はいままでに『地底の美肉』『死の蔭探検記』『コンスタンチノープル』『私は呪われている』『見えない影に』『女豹の博士』を読んでいるらしい。意外と読んでいて、自分でもビックリしてし…

★ジャック・ケッチャム『隣の家の少女』扶桑社ミステリー

ジャック・ケッチャム『隣の家の少女』扶桑社ミステリーを読了 主人公は12才の少年デイヴィッド。森の奥の袋小路のつきあたりにある自然ゆたかな村に暮らしていた。その隣の家に、メグという美少女が越してきたところから物語は始まる。交通事故で両親を亡く…

★高野和明『踏切の幽霊』文藝春秋

高野和明『踏切の幽霊』文藝春秋を読了。 新聞記者出身で、いまは女性雑誌の記者をしている松田は、心霊特集を担当させられることになる。そこで渡されたのが、読者から寄せられた1枚の心霊写真だった。下北沢三号踏切で撮られたその写真には、腰から下のな…

★デイヴィッド・マレル『廃墟ホテル』ランダムハウス講談社

デイヴィッド・マレル『廃墟ホテル』ランダムハウス講談社を読了 寂れたリゾート地に残された廃墟となった巨大なピラミッド型のホテル。建てたのは若くして莫大な遺産を相続したものの、広場恐怖症のためにそのホテルにこもって一生を過ごした富豪。そのホテ…

★渡辺啓助『密林の医師』盛林堂ミステリアス文庫

渡辺啓助『密林の医師』盛林堂ミステリアス文庫を読了。 昭和19年に春陽文庫として刊行された本の再刊だが、そのオリジナルは戦地の慰問用として刊行され、ほとんどが海外の戦地に送られたため、国内にはほとんど残っていないのだという。ほとんど残っていな…