★矢口進也『文庫 そのすべて』図書新聞

 矢口進也『文庫 そのすべて』図書新聞を読了。
 1979年発行の本で、その時点での文庫の歴史とか、文庫に関するトリビアとかをごっそり詰め込んだ一冊。いろいろと面白いネタが満載で、たとえば第二次大戦中の1941年に情報局から岩波文庫の文字サイズを8ポイントから9ポイントにしろという命令が出たなんてことは、本書を読むまではまったく知らなかった。なぜそういう命令が出たかというと、国民皆兵をめざす軍部にとって、小さな文字を読んで視力が悪くなるのは困るから。いやはや、そんな時代もあったわけですね。いまじゃ、本を読むのは年寄りが多いせいか文字サイズもかつてより大きくなっていて、新潮文庫などは9.25ポイントなのだそうで。
 また、古典を現代表記に変更する際の各社の比較などもなかなかに面白い。