
アレクサンダー・フー・シェン主演の『続・嵐を呼ぶドラゴン』を観る。
原題は「方世玉與胡恵乾」。そう、アレクサンダー・フー・シェンが、当たり役の方世玉を演じ、チー・クァンチュンが胡恵乾を演じた作品だ。方世玉や胡恵乾と言われてもなんのことだかわからんという人は、とりあえずこのふたりが、少林十虎と呼ばれた十人の少林派の達人のうちの二人なのだとだけ理解しておけばオーケー。香港映画に繰り返し登場する、伝説的な武術の達人なのである。
映画は、この方世玉、胡恵乾、そして方世玉の兄の方孝玉の3人が、大勢に囲まれて激しく闘っている場面から唐突に始まる。そして、この闘いを繰り広げながら、繰り返し繰り返し回想シーンに突入し、少しずつ少しずつどうしてこのような事態に陥っているのかが説明されていくのである。
方世玉の父が武當派の雷老虎の卑怯な手にかかって命を落とす。方世玉の母の苗翠花は、いまの方世玉の実力では仇は討てないと判断し、方世玉の体を刃物も受けつけぬ鉄の体にするための秘法を施す。ちなみにこの秘法、女を知らない体でないとダメとのことで、妻と子どものいる兄の方孝玉は受けられないのだった。
一方の胡恵乾も、やはり武當派の人間に父を殺され、復讐のために何度も殴り込みをかけるが、そのたびに半殺しの目にあっていた。それを助けた方世玉は、少林寺で修業することを勧め、3年間の修業を経てようやく復讐を果たす。
また、方世玉も、無事に雷老虎を倒し、復讐を果たす。
だが、武當派は清朝政府と結びついていた。清朝政府にとっては、少林寺の門弟を倒すことがそもそもの狙いであった。そのために武當派は白眉道人率いる軍勢をかきあつめて、方世玉たちに襲いかかったのだった。というわけで、冒頭のシーンに繋がり、ここで延々と壮絶な闘いが繰り広げられ、なんとも信じがたい結末を迎えるのである。
これでもかこれでもかと続くアクションシーンが充実していて、なかなか見ごたえがあった。とりわけ、胡恵乾を演じるチー・クァンチュンがよかった。男臭い顔つきで、しかも筋骨隆々、クンフーの動きも実に見事だった。正直、『嵐を呼ぶドラゴン』よりも、こっちの方が面白いのではないかと思った。ちなみに、『続・嵐を呼ぶドラゴン』というタイトルがついてはいるが、特に続篇というわけではなく、まったく関係のない作品である。アレクサンダー・フー・シェンが方世玉を演じているという共通点はあるものの、特にストーリーのつながりはない。
本作に出てくる、刃物すら受けつけない体にする技に名前があったと思うのだけれど、どうしても思い出せない。なんだったかなあ。確か、瞬間的に攻撃を受ける一点に集中して攻撃を跳ね返すというものだったように記憶しているのだが。だが、本作では、激痛に襲われる秘伝の薬草につかり、さらに鞭打ちで体中を血まみれにして再び薬草につかるということを繰り返して鋼鉄の体を作り上げていた。しかし、ひとつだけ欠点があるという設定に、ちょっと笑ってしまった。秘伝の薬草風呂に浸かって筋肉を強化し皮膚を硬くするのだけれど、その際に筋肉が収縮してしまって肛門に薬液が入らない。だから、肛門が唯一の欠点だというのである。それじゃあ、秘技三年殺しでやられてしまうではないか。そして、この設定が衝撃の結末につながっていくのだけれど、いやあ、いくらなんでもあれはちょっと、さすがに、いやいや……。
監督は、ショーブラザーズのこの手の男臭いアクション映画を撮り続けていたチャン・チェー。ただし、資料によってはウー・マが共同監督として名前があがっている。おおっ、ウー・マ、こんな頃から活躍していたんだ。
このあたりの登場人物については、むかし「電影風雲」という同人誌に原稿を書いたことがあるので、それをみれば一目瞭然と思ったのだけれど、そういう時に限って肝心の「電影風雲」が出てこないんだもんなあ。