★芦花公園『ほねがらみ』幻冬舎文庫

芦花公園『ほねがらみ』幻冬舎文庫を読了。


実は、こういうスタイルの小説は苦手なのである。章ごとに視点を変え、スタイルを変え、徐々に真相が明らかになっていくというスタイルの小説だと、読んでいるうちに自分が読んでいるものがなんであったのかがよく分からなくなってしまうのだ。加齢による脳の衰えということもあるのだろうけれど、もとからこういう小説が苦手だった。何も考えないで、ストレートに物語が展開していくのを楽しむような小説が好みなのだ。これはもう、向き不向きの問題であり、自分の能力の問題であり、好みの問題なのだから、致し方あるまい。
なので、長編小説としての本作の評価はどうしても低くなる。繰り返すが、これは作品の問題ではなく、僕自身の問題である。が、パーツパーツについては、かなり楽しんだ。よくまあ、これだけのネタを盛り込んだものだと感心するし、ドキッとさせられた箇所もあちこちにあった。いや、正直、「ずずずずず」は怖かった。「鈴木舞花」のパートは怖かったよ。

解説によると、二作目の『異端の祝祭』は「キャラクターを立てたエンタメ色の強い作風」とのことなので、それだったら完全に自分の好みなのかもしれない。