★細野不二彦『1978年のまんが虫』小学館

 細野不二彦『1978年のまんが虫』小学館を読了。


 『Gu-Guガンモ』『ギャラリーフェイク』等のマンガ家、細野不二彦の自伝的マンガ。いままで読んできた男性マンガ家の自伝は、たいてい手塚治虫の影響でマンガ家をこころざすのだけれど、細野不二彦の世代ともなるとマンガが周囲に溢れている世代なので、特定のマンガ家の影響が強烈にあったというわけではないというのが新しい。
 本書を読んで初めて知ったのだけれど、細野不二彦って僕と同じ大学の1学年下じゃん。自分はSF研究会に所属していて、漫画研究会とも接点がなかったわけではなかったのだけれど、彼らの存在はまったく知らなかった。細野不二彦とか美樹本晴彦とか、すごい人材が同じ空間に存在していたというのに。
 そして、池袋の喫茶店上高地」でのクリスタル・アート・スタジオの例会の場面も出てくるのだけれど、自分も一度だけ参加して美しい原画を見て驚愕したりしていたので、かなり接近遭遇はしていたらしい。そういう意味でも、今まで読んできたマンガ家の自伝とはまったく違っていた。
 どうやらこれから本格的にデビューというところで完結してしまっているのだけれど、もう少し先まで読んでみたかった。それと、家族の問題にもけっこうページが割かれているのだけれど、そうではないマンガ家を目指す若者としての青春ドラマの部分をもっともっと読んでみたかった。