【読書】ジャック・ケッチャム『ロード・キル』扶桑社ミステリー

 ジャック・ケッチャムロード・キル扶桑社ミステリーを読了。
 殺人を犯したキャロルとリーの前に、殺人現場を目撃したウェインという男が現れる。殺人願望を持つウェインは、2人を巻き込んで無差別殺人を開始するのだが……。
 きわめてシンプルな物語だ。ウェインという一般的な倫理観の欠如した人物の行動は嫌悪感を催させるものの、『隣の家の少女』『地下室の箱』に比べればまだまだおとなしい。読んでいる自分の嗜好に不安を覚えるような怖い小説ではなかった。ウェインの考え方に共感できる部分がかけらたりともないということに、ちょっと安心させられる。そういう意味では、ケッチャムの小説としては、いささか物足りないというべきなのかもしれないが。
 それにしても、相手が子どもであろうとも、平然と殺す描写は、さすがはケッチャムと言うべきか。