【読書】リチャード・レイモン『逆襲の〈野獣館〉』扶桑社ミステリー

 リチャード・レイモン『逆襲の〈野獣館〉』扶桑社ミステリーを読了。
 鬼畜な幼女強姦魔と〈野獣館〉に潜む狂暴な野獣を描いた、あの『殺戮の〈野獣館〉』の続編である。
 今回もまた、中に入らなければいいのに、わざわざ〈野獣館〉に入り込んで野獣に襲われるアホどもの恐怖を描く。
 読みながら「なんでそこで〈野獣館〉に入っていくかなあ?」とため息を何度ついたことだろう。とりわけ、愛する男性のことが心配で入り込んでいく女性たちについては、「そこで中に入っていっても、足手まといにしかならないのに」と、いささかうんざりさせられる。
 が、その欠点を除けば、前作よりパワーアップした本作は、読み応えたっぷりのエンターテイメントに仕上がっていて、グイグイと読ませられる。前作のような鬼畜な設定による驚愕はないものの、たっぷりと楽しませてくれるエンタメ系ホラー小説なのだ。
 解説によると、第3弾も刊行されているとのことだが、残念なことに日本での翻訳はなさそう。あっちのシリーズも、こっちのシリーズも、途中で翻訳が止まってしまうのはなんとも悔しい限り。もっとも、刊行されたすぐに買って読んだわけではなく、いまさらのように古本で買ってきて読んでいるので、偉そうなことは言えないのだけれど。