★星野ケイ『香港電影 スター★チェイサー』角川ティーンズルビー文庫

 星野ケイ『香港電影 スター★チェイサー』角川ティーンズルビー文庫を読了。
 香港映画の片隅に写っていたスタントマンに惚れ込んだ高校生の片山早紀。香港での新作映画撮影現場の見学ができるツアーの懸賞応募にみごとに当選して、あこがれのスタントマンがいるはずの撮影現場へ。だがそこで彼女は、香港映画界と霊界とをめぐるとんでもない事件に巻き込まれてしまうのだった。
 著者の星野ケイさんは、むかしっからの筋金入りの香港映画ファンで、特にスタントマン出身の銭嘉楽の熱狂的なファンとして知られている。本作をはじめとする香港映画テイストのアクション小説を山のように書いているのだけれど、こうした商業出版にとどまらずに銭嘉楽を題材とした自費出版の小説やらマンガやらもずっと出し続けている。その継続の力にはひたすら頭が下がるのみ。
 そして本書は、そんな自分の体験をフルに反映したアクション小説なのだ。主人公が憧れるスタントマンのモデルはもちろん銭嘉楽で、他にジャッキー・チェンなどをモデルにしたキャラクターなども出てきて、その登場シーンにはニンマリさせられてしまう。そう、ジャッキー・チェンて、かつてはこういうキャラクターだったんだよなあ。
 ちなみに、「銭嘉楽って誰?」と思う人は、いますぐイーキン・チェン主演の『ゴールデン・ジョブ(黄金兄弟)』をご覧頂きたい。この最上級に痛快なアクション映画を監督して、出演もしているのが銭嘉楽なのである。