【映画】燃えよデブゴン 豚だカップル拳

 サモ・ハン主演の燃えよデブゴン 豚だカップル拳』を観る。原題は「搏命單刀奪命槍」。
 観てわかったのは、この邦題、内容となんの関係もないってことだ。英語のタイトルが「Odd Couple」なもんだから、無理矢理「カップル」という言葉を入れたのだろうけれど、なんの意味もないタイトルだということだけはよくわかった。
 刀の名手・一代刀王(サモ・ハン)と、槍の名手・一代槍王(ラウ・カーウィン)は、むかしからのライバルで、毎年決着をつけようと闘っているのだけれど、お互いの手の内を知り尽くしているので、どうしても引き分けに終わってしまう。そこで、お互いに弟子を育てて、その弟子に対決させて決着をつけようということになる。
 一代刀王が弟子にしたのはスイカ売りのウィン(ラウ・カーウィン)という若者。一代槍王が弟子にしたのは船頭のア・ヨウ(サモ・ハン)という若者。お互いにこの2人を鍛え上げて、いよいよこのふたりを対決させようと画策する師匠たちだったが、そこに一代刀王と一代槍王のふたりに怨みを持つウォン(レオン・カーヤン)が復讐のために現れるのだった。
 というわけで、サモ・ハンとラウ・カーウィンのふたりが、師匠と弟子の役を入れ替えながら一人二役を演じるという、実にむちゃくちゃな企画の映画なのである。よくこんなことを思いついたな。
 1979年の作品である。ジャッキー・チェンで言えば『ヤング・マスター/師弟出馬』の前年なので、新しいタイプのクンフー映画が登場する直前の作品ということになる。なので、アクションの演出や音楽などもいささか古めかしい。古めかしいけれど、やってることはめちゃくちゃレベルが高い。サモ・ハンとラウ・カーウィンのアクションの素晴らしさに惚れ惚れとしてしまう。
 監督はラウ・カーウィン、武術指導はサモ・ハンとブルース・ロー、その武術指導のアシスタントがユン・ピョウ、ラム・チェンイン、ビリー・チャン。なかなかの顔ぶれだ。さらに名前を列記すると、製作がカール・マッカ、脚本がレイモンド・ウォン、ライ・ワイマン、音楽がフランキー・チェンなのである。その後の香港映画を隆盛に導く人間が、がっつり顔を揃えているではありませんか。
 ディーン・セキ、マース、ラム・チェンイン、チョン・ファトといった名前が出演者として並んでいるのも実に懐かしい。
 内容は恥ずかしいくらいにくだらない作品なのだけれど、昔懐かしいクンフーアクションを満喫できる愛すべき作品なのでありました。
 ちなみに借りてきたDVDはHDリマスター版ということで、めちゃくちゃ画質がよくてびっくりしてしまった。