【映画】フラッシュオーバー 炎の消防隊

 中国映画『フラッシュオーバー 炎の消防隊』を観る。
 危険物を大量に貯蔵している化学工場で爆発が発生し、吹き出た炎はあっという間に周辺の大規模工業団地を巻き込み、一帯は瞬く間に炎に包まれた。吹き出した爆風に襲われ、広範囲にわたって建物は崩壊し、助けを求める者がいたるところに発生する。
 そこにまっさきに駆け付けたのが、別の事故で近くに来ていたジャオ隊長の率いる消防隊だった。彼らは、救助のために危険なエリアに突き進んでいく。だが、災害の規模は想像以上だった。しかも、工業団地に貯蔵されていた危険物に炎が近づきつつあった。もし、それが爆発を起こせば、被害は街全体に及び、計り知れないレベルの環境被害をも引き起こすことが予想されるのだった!
 いやあ、凄い。あっという間に阿鼻叫喚の地獄図が発生し、それ以降は一瞬の緩みもなく、ひたすら壮絶な描写が続くのだ。しかも、あとからあとから凄い描写が続くというのに、それがまったく一本調子にならない。とんでもない災害に目を釘付けにされたまま、いっきにエンドクレジットまで連れて行かれてしまうのだ。
 それにしても、中国の消防隊、凄いな。いや、消防隊に限らず、あっという間に現場に駆け付けて救援態勢を整える医療部隊も実に凄い。彼らの一糸乱れぬ活躍を観ていると、思わず胸が熱くなってしまう。もちろん、現実の中国の消防隊がこうだと思っているわけではないのだけれど、大規模災害の続いている日本で、こうした組織が作られていたらと、つい思ってしまった。
 監督は『the EYE 【アイ】』『アブノーマル・ビューティー 死亡写真』などのオキサイド・パン。久しぶりに彼の名前を見たと思ったら、かつての監督作品からは想像もつかないような、とてつもなくスケールの大きな作品で再会することになってビックリしてしまった。ダンテ・ラムが撮ったというのならとっても納得のいく作品なのだけれど、まさかオキサイド・パンがこのようなディザスタームービーを撮るとは思ってもみなかった。
 ちなみに、ダンテ・ラム監督には『レスキュー(緊急救援)』という似たタイプの映画があったが、あれに匹敵する迫力の映画だと思ってもらっていいだろう。ところが、いま調べてみたら、オキサイド・パンには、双子の弟であるダニー・パンと組んで撮った『インフェルノ 大火災脱出』というディザスタームービーがあるというではないか。おおっ、完全に見逃していたぞ。そういう作品があって、本作に繋がっていたのか。これは、観なければ。
 中国の俳優には疎いので、本作の俳優についてもぜんぜん知らないのだけれど、ジャオ隊長を演じているワン・チエンユエンという役者が、モノマネ芸人の原口あきまさに似ている気がして、そこだけはちょっと残念。いや、彼らに罪はいっさいないのだけれど。
 本作は劇場公開していたらしいのだけれど、残念なことにまったく気がついていなかった。公式ホームページを見ると、埼玉県での上映はなく、都内はシネマート新宿だけだったようだ。このあたりのアンテナがすっかり鈍っているようで、反省しなければ。