★1950 鋼の第7中隊

 中国映画『1950 鋼の第7中隊』を観る。

 朝鮮戦争に介入して北朝鮮に侵入したアメリカ軍を退けるために、金日成の要請を受けて毛沢東が送り込んだ中国軍の死闘を描く戦争映画。北朝鮮を助ける正義の中国軍という位置づけの映画なので、なんとも感情移入がしにくい。
 監督は、チェン・カイコーツイ・ハークダンテ・ラムという超豪華な布陣で、いったいこの3人がどういう役割分担で映画を撮ったのか、実に気になる。が、この3人が中国資本をバックに予算をガンガン注ぎ込んでとったものだから映像の迫力は半端ない。モブシーンのエキストラの人数はとんでもないことになっているし、炸裂する火薬の量もとてつもない。
 主役の伍千里を演じているのは、『戦狼/ウルフ・オブ・ウォー』などで中国の愛国的な映画の主人公役にすっかりはまってしまったウー・ジン呉京)。すでに香港時代のイメージとは大きくかけ離れた、大物俳優の風格を漂わせている。そのウー・ジンの弟、伍万里を演じているのはイー・ヤンチェンシー(易烊千璽)。なかなか目力のあるイケメン俳優だ。
 かくして、監督も、役者も、予算も申し分なしの超大作映画なのだけれど、最初に書いたようにどうにも感情移入がしにくい。そこかしこに見られる「中国すごい」という主張があからさまで、どうにも素直に映画を楽しめないのだ。中国で撮られる戦争映画なので、そうなるのはやむを得ないのだけどね。
 上映時間は175分とのことだけれど、もっと長いように感じた。途中にあった戦闘シーンで終わっても、充分に1本の映画として成り立っていたと思うのだけれど、そのあとにさらにど派手な戦闘がまたあるんだもんな。さすがに疲れた。

 そして、さらに続篇の『1950 水門橋決戦』があって、こちらは149分とのこと。観るにしても、しばらく間を空けないことにはしんどいな。