★ジャイアント・スパイダーズ 巨大クモ群団の襲撃

 中国映画ジャイアント・スパイダーズ 巨大クモ群団の襲撃』を観る。

 なんでまた、こんな映画を観てしまったかというと、キャストの中にユー・ロングァンの名前を見つけてしまったからなのだ。そう、『天山廻廊 ザ・シルクロード』『テラコッタ・ウォリア 秦俑』のユー・ロングァンだ。いまだに例に出す作品がそれかよと言われそうだけれど、ユー・ロングァンといえばこの2本でしょう。
 が、いざ観てみたら、ユー・ロングァンの出てくるシーンはそんなになかった。冒頭と最後にちょっと出てきただけだった。ま、そんなもんだよな。でも、『0061 北京より愛をこめて!?』よりは出演シーンは長かったぞ。

 砂漠の奥深くに隠された秘密の研究所で遺伝子操作によって作り出された巨大なクモによって、研究所は壊滅する。救援信号を受け取った軍部は、砂漠地帯に精鋭部隊を送り込むのだが、研究所内で待ち構えていた巨大なクモによって、ひとりまたひとりと、命を落としていくのだった。
 というわけで、地下の閉鎖空間で部隊とクモとの死闘が延々と繰り返されるのだけれど、この攻防が実に単調で、映画としての工夫がほとんどない。ドラマとしての盛り上がりがなく、正直、飽きる。ワヤワヤと襲いかかるクモ軍団、逃げながらひたすら銃器を撃ちまくる主人公たち。それが延々と繰り返されるのだ。
 そもそも、ジャイアント・スパイダーズと言いながら、そこまででかいわけじゃない。そりゃ、クモとしてはめちゃくちゃでかいけど、せいぜい人間と同じくらいだ。しかも、場面によってこのクモのサイズが一定じゃなかったりする。子犬ぐらいのクモがごちゃごちゃと襲いかかってきたりするかと思うと、足が人間を貫くシーンになると足だけはめちゃくちゃ巨大だったりするのだ。おかしいだろ、それ。
 そして、主人公たちに同行した科学者のボディガードとして随行したのが、低周波を放つ刀を持った謎の美女戦士という、わけのわからない設定。最後まで、彼女の設定はわからないまま。他の兵士たちがリアル路線で登場してきているのに、彼女だけは香港クンフー映画路線のバトルを繰り広げるというアンバランスさ。
 だが、我慢して観続けよう。そうすると、遺伝子研究の成果を自分の身体に施した女性科学者が登場してきて、彼女が遊星からの物体Xと変貌するという、それまでの展開からは予想だにつかないとんでもない映像を観ることができるのだから。個人的には、この場面がこの映画の唯一の収穫だったかもしれない。よかった、ひとつでも収穫があって。