【映画】海洋天堂

 だいぶ前にNHK-BSで放送された『海洋天堂』を観る。どういう映画なのか、まったく知らないまま観たので、まずはジェット・リーが出ていることに驚いてしまった。しかも、アクションはまったくなしで、純粋に役者として出演しているではありませんか。ここで驚くというのは、もしかしたら知らないにもほどがあるのかもしれないけれど、本当にこの映画についてはタイトルを見聞きしたことがあるというだけで、何も知らなかったのだ。
 水族館で働いているワン・シンチョン(ジェット・リー)。妻は亡くなり、いまは自閉症の息子ターフー(ウェン・ジャン)とふたりで暮らしている。だが、彼は末期癌にかかっており、余命わずかと宣告されていた。1人暮らしなどとてもできない息子のことを考えると、安心して逝くこともできない。なんとか息子を引き取ってくれる施設がないものかと、必死に探し回るシンチョンだったが……。
 いやいや、切なすぎるでしょ、この設定。随分前に観たジェイコブ・チャン監督、ロイ・チャオ主演の『籠民』という香港映画が同じような題材を扱っていて、あれにも泣かされたけれど、これにも泣かされてしまう。歳とって涙もろくなっているのだから、こういう映画を見せるなよ(いや、自分が勝手に観ているだけなんだけど)。
 中国映画には疎いので、息子を演じているウェン・ジャンについてはよく知らないのだけれど、『西遊記 はじまりのはじまり』『ドラゴン・コップス』『白蛇伝説 ホワイト・スネーク』といった香港映画にも出ているらしい。なんだ、やたらとジェット・リーと共演しているじゃん。ときどき見せる表情が濱田岳そっくりとか思ってしまったのは自分だけだろうか。
 そのターフーが慕うリンリンを演じているグイ・ルンメイは、中国映画に疎い自分でも名前を知っていて、なにやらすごく印象に残る映画を観ていたはずなのだけれど、その映画がなんだったのかどうしても思い出せない。なんとも情けないかぎりだ。
 撮影はクリストファー・ドイル、美術はイー・チュンマン、音楽は久石譲と、スタッフもやたらと豪華だ。