【映画】武神

 シェー・ミャオ主演の中国映画『武神』を観る。原題は『辛弃疾1162』。
 1162年。中国。漢民族の宋と女真族の金が領土を争っていた時代。民衆を率いて金への反乱を起こしていたシンキシツは、金軍の急襲によって兵の大半を失ってしまう。しかし、民衆に対して暴虐の限りを尽くす金から南宋の土地を取り戻すべく、シンキシツは泰安城に旧友のカスイを訪ねていく。だが……。
 金王朝の高官の孫に生まれながら、金への反乱を起こし、南宋にくだった実在の人物、辛弃疾を主人公にしたアクション時代劇。Wikipediaにある人物の説明を読むと、ほぼ実話に沿った脚本であるということに驚いてしまった。もちろん、あれこれと脚色はほどこしてあるだろうが、基本線は実話ではないか。
 主人公は、『新・少林寺伝説』『盲剣楼』『少林寺 怒りの飛龍拳』『少林寺 十八の羅漢』などのシェー・ミャオ(謝苗)。今回はクンフーアクションではなく、剣をメインにした力強いアクションシーンをたっぷりと披露してくれている。このアクションシーン、演出も実にしっかりとしていて、実に実に大満足。
 アクションがいいのは彼の場合あたりまえだったりするのだけれど、ほとばしる感情の表現がこれまたいい。えっ、シェー・ミャオってこんなにいい役者だっけか、とか思ってしまう。思わずドラマにひきずりこまれてしまう。
 そのシェー・ミャオの恋人役で登場してきているナン・ション(南笙)が、これまた素晴らしい。『西遊記 孫悟空vs7人の蜘蛛女』でもシェー・ミャオと共演している彼女だけれど、とにかく可愛らしい。それなのに、アクションの動きがよく、しかも闘うときのきりっとした表情がとってもいいのだ。単なる美人女優を主人公の横に置いてみましたみたいな存在ではなく、めちゃくちゃ闘ってしまうのである。
 しかし、このふたり、イチャイチャしすぎだぞ。部下たちの手前もあるのだから、もう少し控えろよ(笑)
 その他の脇役もみんなキャラが立っていて、「あれ、これ誰だっけ?」というような場面がまったくなかった。いやあ、素晴らしい。
 監督は張哲、張明國で、張哲という監督はシェー・ミャオ主演の映画を立て続けにとっているようだ。
 新年早々、なかなか大当たりの中国アクション映画に出会えたぞ。