【映画】少林寺:阿羅漢vs鬼神羅刹

 少林寺:阿羅漢vs鬼神羅刹』を観る。原題は『少林降魔』。2020年の作品。
 これがシェー・ミャオ主演の少林寺映画なので、真っ当なクンフーアクション映画かと思いきや、なんともとんでもない作品でありました。
 いま、人間界は悪の鬼神“羅刹”によって支配されようとしていた。少林寺にはそれを倒すための「龍の杖」が秘匿されていたが、いざ引っ張り出そうとしたら簡単に粉々に砕け散ってしまう。少林僧のホイハイ(シェー・ミャオ)は、“阿羅漢”なら世界を救えるという伝説に従い、阿羅漢を探すための旅に出るのだが……。
 というのが、基本の設定なのだけれど、本当に脚本があったのか?と言いたくなるような謎の展開に頭が痛くなる。撮影現場での思いつきで適当に撮っていったんじゃないのか?としか思えないデタラメな展開。そして、まったく笑えない低レベルのギャグの連打。それでいて、なぜか感動的なシーンにだけはやたらと力の入った演出。これではまるで、劣化版のジェフ・ラウではないか。
 クライマックスは、地獄を舞台にCGを使いまくったホイハイと羅刹のドラゴンボールのようなバトルが繰り広げられる。いや、こういうバトルが観たかったんじゃないんです。
 しかし、本作の紅一点、ヒロインのスースー(ワン・ツートン/王子彤)は可愛いぞ。幼い頃からずっとホイハイの追っかけをやっていて、「僧侶は結婚はできない」と言い張るホイハイにひたすら結婚を迫るというキャラクター。しかも、やたらと強くて、押し寄せる悪党どもを片端から叩きのめしてしまうのだ。でも、相手を叩きのめすシーンは一度も出てこなくて、場面が変わると相手がみんな倒れていたりする。まるで高橋留美子のマンガのキャラクターみたいだ。
 日本で観られるシェー・ミャオの主演作は、あと『ブレイド・オブ・ゴッド 天空の剣』『武神』という作品があるらしい。期待していいのかどうかは分からないけれど、これも近いうちに観なければ。