【読書】金城一紀『レヴォリューションNo.3』角川文庫

 金城一紀レヴォリューションNo.3』角川文庫を読了。
 新宿区にある落ちこぼれ男子高校に通う学生たちは、周囲の有名高校の学生からはゾンビと呼ばれていた。なぜなら偏差値が脳死と判定されてしまう血圧値ぐらいしかないから。そして、殺しても死にそうにないから。そんなザ・ゾンビーズの物語、高値の花のお嬢様高校の学園祭に集団で潜入を試みる「レヴォリューションNo.3」、カツアゲで奪われてしまった旅費(沖縄にある友人の墓にみんなで行くための旅費)を奪い返そうとする「ラン、ボーイズ、ラン」、ストーカーに付け狙われた女子大生の依頼でボディガードをすることになる「異教徒たちの踊り」の3篇を収録する。
 前に読んだのはなんと17年前だ。それでも、語り手である南方、ザ・ゾンビーズの主要メンバーであるヒロシ、舜臣、萱野、アギー、山下といったキャラクターが登場してくると、実に懐かしく彼らのことが思い出されてしまう。それだけ、ひとりひとりのキャラがたっているということなのだろう。史上最弱のヒキを持つ男、山下をめぐるエピソードの数々には、今回も思わず笑わされてしまった。
 実に幸せな読書時間を味わうことができた。
 13年ぶりのシリーズ最新作『友が、消えた』につながるキャラやエピソードもあれこれあり、やはりこちらを読み返してから新作を読めばよかったと後悔してしまう。