金城一紀『レヴォリューションNo.0』角川文庫を読了。
ザ・ゾンビーズ・シリーズの第4弾で、『友が、消えた』が久々に刊行されるまではこの4冊で完結ということになっていた。久々の再読なのだけれど、これまたみごとなまでに内容を覚えておらず、ほとんど初読と変わらない読書時間を過ごすことができた。こうなったらもう、新刊など買わずに自分の書棚にある本を再読するだけでこのあとの老後を乗り切ることができるのではないだろうか。
偏差値の低いオチコボレばかりが集まる男子校に入学した僕(南方)。だが、そこで待ち構えていたのは、通常よりも多く入学させた生徒を退学に追い込むための「団体訓練」という名のシゴキだった。そんなクソな学校から逃げ出すことは簡単だ。だが、僕たちはそんな世の中に抗う決意をかためるのだった。
『レヴォリューションNo.3』『フライ,ダディ,フライ』『SPEED』よりも前の、ザ・ゾンビーズ結成前夜を描く短めの長編で、やはりこれまた一気読みだった。
それにしても、ここで描かれる軍隊さながらのシゴキ合宿の過酷さは異様で、いまなら即座にSNSで拡散されて社会問題になるレベルのものである。だが、本作が書かれたのは2011年。14年前だと、そこまでSNSは力を持っていなかったのかもしれない。
これで、過去に書かれたザ・ゾンビーズ・シリーズはすべて読み終えてしまったので、あとは新作が早く出てくることを期待することにしよう。