【映画】ハヌ・マン

 インド映画『ハヌ・マン』を観る。
 地方に位置するアンジャナドリ村で暮らす青年ハヌマントゥ。ろくに働こうともせずにスリをして日銭を稼いでは遊び暮らし、村の鼻つまみものとなっている。ところが、村を支配する領主ガジャパティから憧れのミーナクシを守ろうとしたことで重症を負って海に沈んでしまう。だが、海底に眠るハヌマーンの宝石を手に入れたことで超常的な能力を身につけてしまう。
 その能力を狙って村にやってきたのが、スーパーヒーローに憧れ、自分がスーパーヒーローになるためだったら誰が犠牲になろうと躊躇しないという冷酷な実業者マイケルだった。マイケルはハヌマントゥの能力の秘密を探るべく行動を開始するのだが……。
 うーん、これはちょっと自分の好みではなかった。随所にあるコミカルな演出がなんというか、かなり安っぽいのだ。主人公に殴られた敵がズゴーンとすっ飛んで行ってしまうというようなアクションシーンの映像も、いまいち完成度が低い。そして、読経のような単調なリズムが延々と続く音楽によって睡魔に襲われてしまう。クライマックスで何度も意識が飛んで、そのたびに前の場面に戻って見直したりしていたのだけれど、同じ場面でまた意識が飛んでしまう始末。壮大なスケールの物語のようで、実は田舎の村の中だけで物語が完結してしまっているのも、なんとも物足りない。
 てっきり、最後には村の崖に彫られた巨大なハヌマーンの像が大魔神のように動き出して悪党をやっつけるものと期待していたのだけれど、その期待はむなしかった。最後に「続く」となっていて、話が完結していないのだ。もしかしたら、続篇でスケールが大きくなるのかもしれないけれど、本作と同じテイストの作品だったら観なくてもいいかな。
 ちなみに、Wikipediaをみると、一般的な評価は高く、興行的にも成功した作品であるらしい。
 インド映画研究家の松岡環さんによると「テルグ語映画は、ユルい笑いがいっぱい入っているのが普通で、それにヒーロー性をかぶせてあるので、ヒーローと同じくらいコメディアンが人気」とのこと。そのユルい笑いが自分的にはダメだったんだけれど。