【映画】戦神 ムーン・ウォーリア-ズ

 アンディ・ラウ主演の『戦神 ムーン・ウォーリア-ズ』を観る。
 漁村で育ったフェイ(アンディ・ラウ)。ある日、弟の反乱によって国を追われた十三皇(ケニー・ビー)を救ったことから、王座をめぐる争いに巻き込まれていく。
 1992年の作品で、当時はアンディ・ラウ主演のこの手の映画が途切れることなく作られていて、そのほとんどをリアルタイムで観ていたのだけれど、この作品はたまたま観る機会がないままだった。それにしても、あらためて調べてみると、アンディ・ラウ、1991年には12本、1992年には8本の映画に出演しているという多忙さ。しかも、自らの映画制作会社「天幕製作有限公司」を率いており、本作もその天幕の制作作品となっている。
 十三皇の配下のシンイーをマギー・チャン、十三皇の婚約者月姫アニタ・ムイが演じている。
 マギー・チャンは1990年の『客途秋恨』『レッドダスト』『欲望の翼』といった作品で演技開眼したあとの作品で、さほどキャラクター設定をされていない本作でも、十三皇に対する報われない恋心をさりげなく演じていて、さすがの演技派である。ちなみに、同年の出演作には『ハッピー・ブラザー 家有囍事』『ツイン・ドラゴン』『英雄列伝』『ドラゴン・イン/新龍門客棧』『ポリス・ストーリー3』があり、どれだけ忙しいんだか。
 アニタ・ムイはこの年の出演作は本作のみであるのだけれど、翌年には『THEマジック・クレーン』『ワンダー・ガールズ 東方三侠』『ワンダー・ガールズ 東方三侠2』『マッドモンク 魔界ドラゴンファイター』『ファイト・バック・トゥ・スクール3』とヒット作に立て続けに出演している。
 要するに、こうしたトップスターの出演作が途切れることなく作られていた時代なのだ。
 監督はサモ・ハン、アクション監督はユン・ケイ、チン・シウトン、脚本はアレックス・ロー
 さすがユン・ケイ&チン・シウトンがアクションを担当し、サモ・ハンが監督をしているだけあって、アクションシーンはひたすら派手で美しい。とはいえ、ストーリーはシンプルきわまりなく、キャラクターの書き込みもほとんどなされておらず、アクションを楽しむだけの作品となってしまっている。もっとキャラクターの感情をエモーショナルに盛り上げる場面があれば、映画の魅力も増すだろうに。
 あと、本作ではアンディとシャチの共演が話題のひとつとなっている。たぶん香港のオーシャンパークでショーをやっていたシャチが出演しているのでしょう。よくよく考えてみれば、よくまあトップスターにシャチと一緒に泳ぐなどの危険なシーンの撮影をさせたものと呆れてしまうのだけれど。