【映画】アザーズ

 ニコール・キッドマン主演のホラー映画アザーズを観る。
 1945年、第二次世界大戦終結直後のチャネル諸島ジャージー島。グレースは古びた館に娘アン、息子ニコラスと3人で暮らしていた。アンとニコラスは光アレルギーのため、館の窓という窓には分厚いカーテンが引かれ、うす暗い屋内での生活を余儀なくされていた。熱心なキリスト教徒であるグレースは、子どもたちに宗教的な素養を叩き込むべく努力をしているのだが、あるとき、娘が家の中に男の子がいると言い出す。厳しく嘘をたしなめるグレースだったが、やがて誰もいないはずの部屋から物音が聞こえてきたり、子どもの泣き声が聞こえてきたりするのだった。
 じわりじわりと緊張が高まっていく演出がみごとで、ついつい見入ってしまう。映像が美しく、優れたホラー映画というのは、こういう素晴らしい映像があればこそだと納得させられる。残虐なシーン、血なまぐさいシーンなどの安易なホラー描写はまったくなし。それでいて怖いのだ。
 そして、ニコール・キッドマンがどんどん追い詰められていく過程での恐怖が実にリアルで、圧倒される。閉ざされた環境を舞台にして、登場人物も限られている作品なので、ほとんどニコール・キッドマンの演技のみで成り立っている作品となっている。ある意味、舞台劇といってもいいくらいの作品だ。
 また、脚本がよくできている。微妙に違和感のある描写から「もしかするとそういうことかな」というおぼろげな予想はつくものの、この真相はなかなかに衝撃的だ。そして、なかなかに怖い。終わることのない物語なのだ。
 SF作家の高井信さんから教えられて観た作品なのだけれど、これは観てよかった。