【映画】ラストマイル

 「アンナチュラル」と「MIU404」の監督:塚原あゆ子&脚本:野木亜紀子による映画『ラストマイル』を観る。テレビドラマ「アンナチュラル」と「MIU404」を楽しんだ者としては、観ないという選択肢のない映画なのだ。
 流通業界最大のイベントであるブラックフライデー前夜、世界規模のショッピングサイトの関東センターから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生する。流通のどの段階で爆弾が仕掛けられたのか、まったくわからなかったのだが、どうやら全部で12個の爆弾が仕掛けられたらしいことが明らかになり、続けざまに爆発事件が起きる。関東センター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、流通を止めれば莫大な損害が発生するという上部からの圧力を受けながら、事件解明に奔走するのだが……。
 Amazonとか楽天といった巨大ショッピングサイトが、下請けの流通を叩くだけ叩いているというようなひずみが暗に描かれており、意外と社会派のドラマとなっている。が、「アンナチュラル」や「MIU404」の登場人物を盛り込むなどのサービスが裏目に出たのか、視点が分散しすぎているという嫌いがあり、いささか物語展開が失速しているという印象を受けてしまう。緊張感が持続しないのだ。ハラハラドキドキが物足りないのだ。満島ひかりが走り回ったり、犯人によって追い詰められたりというような場面がないのだ。いや、とってつけたかのように、満島ひかりが開けようとした箱に爆弾が仕掛けられていたという場面があることはあったけれど、なんの説得力もない展開だしなあ。そもそも、なんで爆弾が仕掛けられているということに気がついたんだ?
 役者はみんないいんだけどねえ。なんとももったいない。