【映画】俺たちの旅路 さらば愛しき日々よ(龍鳳茶楼)

 1990年制作の懐かしき香港映画俺たちの旅路 さらば愛しき日々よ(龍鳳茶楼)』を観る。
 主演はマックス・モク&チャウ・シンチー。いまでは香港を代表する映画監督となったチャウ・シンチーが、まだコメディ俳優としてブレイクする前の作品で、ここで演じているのは単なるケンカっぱやいチンピラだ。エレン・チャンとマックス・モクの恋愛模様をメインに据え、対立する組織との抗争が繰り返し2人の仲に陰を落とすという、当時の香港映画に山のようにあったタイプの作品だ。当時はこういう映画をひたすら観ていたような気がする。
 なんとも懐かしい作品なのだけれど、よくよく考えてみたら、自分はこの作品を日本語字幕付きで観たのは今回が初めてだった。前に観たのはおそらく、新大久保にあった在日中国人を相手にしたレンタルビデオショップで、1本のVHSテープに3本の映画が3倍速で入っているという、壮絶に画質の悪いビデオを借りてきて観たのだと思う。調べてみると、1992年の12月に観ている。その前日に観ているのは、やはりチャウ・シンチー主演の『望夫成龍』だ。「電影風雲」という香港映画同人誌で、チャウ・シンチー全作レビューをするために、ひたすら画質の悪いビデオを観続けていた頃だ。
 すっかり名前も忘れていたのだけれど、マックス・モクの出ている映画もあの頃は山のように観たものだった。いまはどうしているのだろう? チャウ・シンチーたちチンピラを率いる組織のボスを演じているのは、いまは亡きン・マンタだ。チャウ・シンチーと組んではいても、ここではシリアスな演技に徹している。後に2人で組んで、バカバカしいコメディを量産することになるとは思いもしなかったのだろうな。主題歌を歌っているのはアンディ・ラウ。主題歌が流れると必ず回想シーンに突入するという「サリー・イップの法則」もここでは健在だ。とにかく、なにもかもが懐かしい。
 監督は『上海グランド(新上海灘)』のプーン・マンキッ。