【読書】ゾラン・ジヴコヴィチ『本を読む女』盛林堂ミステリアス文庫

 ゾラン・ジヴコヴィチ『本を読む女』盛林堂ミステリアス文庫を読了。
 ゾラン・ジヴコヴィリ・ファンタスチカと銘打たれたシリーズの第2弾で、今回は本を読むことを生きがいにしているタマラさんという女性が遭遇する、本をめぐる8編の奇妙な物語が収録されている。
 本をめぐる奇妙な物語というだけで、本好きとしてはたいそう嬉しい作品集なのだけれど、その奇妙な体験というのが本当に奇妙で、しかもその奇妙さ加減がなんとも絶妙なのだ。
 さらには、どの物語も果物が絡む物語となっており、それぞれのタイトルも「リンゴ」「レモン」「ブラックベリー」などとなっている。どれだけ凝った設定なんだ。そして、最終話のタイトルが「フルーツサラダ」となっていて、それまでに出てきた果物が全部出てくるという凝りようなのである。
 どの作品も心地よく読めるテイストの作品ばかりで、肩の力を抜いて気軽に楽しめる1冊となっている。