【映画】東京リベンジャーズ

 珍しく日本映画『東京リベンジャーズ』を観る。本作を観たことにとりたてて理由はないのだけれど、昨日は日本語字幕のついていないフィリピン映画を観て疲れたので、今日は字幕を必要としない映画を観たかったのかもしれない。
 落ちこぼれのフリーター花垣武道は、学生時代につきあっていた橘日向とその弟の直人が、半グレ集団“東京卍會”の抗争に巻き込まれて亡くなったことを知った翌日、地下鉄のホームから何者かに突き落とされる。だが、電車にはねられる直前に武道は10年前の自分にタイムスリップする。中途半端な不良だった10年前の自分となった武道は、なんとか10年後の悲劇を防ごうと、直人に10年後に起きることを伝える。だが、その直後に再び現代にタイムスリップしてしまう。現代に戻った武道は、自分が過去の世界でおこなったことで未来を変化させたことを知るが、日向を救うことはできなかった。刑事になっていた直人から「10年前に戻り、東京卍會を潰せば日向を助けられる」と説得された武道は、またしても日向を救うために過去へと飛ぶのだが……。
 タイムスリップといっても、肉体が過去に飛ぶのではなく、精神だけが過去に飛んで10年前の自分の中に入るという設定なのだけれど、やはりいろいろと無理がある。無理があるけれど、ドラマの眼目はタイムスリップにあるのではなく、やり直すチャンスを与えられた主人公がダメダメだった情けない過去の自分を乗り越えるというところにあるので、さほど気にはならない。そして、情けなかった主人公が、好きだった女性を救うために、そしてその過程で得られた仲間を救うために、必死になってあがく姿がなかなかの胸アツで、けっこうのめりこんで観てしまった。
 観る前は、ヤンキーたちがケンカをする映画というシンプルなイメージしか持っていなかったのだけれど、それは『男たちの挽歌』がヤクザが銃撃戦をするだけの映画というようなものなので、いまは貧弱なイメージしか持っていなくてゴメンナサイという気分だ。
 主人公武道を演じているのは北村匠海。日本の俳優に関しては、まったく無知なのだけれど、さすがに名前だけは知っていた。だらしなかった男が根性を見せるあたりの演技はなかなかの迫真もので、実にドラマを盛り上げてくれる。そして、恋人の日向を演じているのは今をときめく今田美桜だ。朝ドラを観ていたので知っていたけれど、自分の知っている今田美桜とは、ちょっとイメージが違っていたかな。他の、高校生を演じるにはちょっと歳がいってるぞというメンバーも、なかなかいい顔ぶれが揃っている。まあ、ひとりで数十人とバトルを繰り広げるドラケン(山田裕貴)はちょっと不死身すぎるかもしれないけれど。
 監督は『映像研には手を出すな!』の英勉とのこと。おおっ、『映像研には手を出すな!』はテレビドラマも映画も両方とも観ている好きな作品だぞ。
 こうなったら、続篇の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』も観なければ。