【映画】さかなのこ

 のん主演の日本映画『さかなのこ』を観る。
 さかなクンの自伝的エッセイを映画化したもので、『あまちゃん』ののん(能年玲奈)が、魚のことしか頭にない主人公ミー坊をめっちゃ好演している。実は、さかなクンが初めてテレビに登場してきたとき、たまたまそれを観ていた自分は「この子はちょっと足りない痛い子」という印象を持ってしまった。たぶん、そう思ったのは自分だけではないだろう。だけど、その後も彼は「好き」ということを貫き通し、いまでは大学で授業も持つほどになっている。自分の見る目のなさを反省するしかない。
 映画では、その「徹底して好き」「他のことは目に入らない」ということが、あっという間にまわりをまきこんで味方にしてしまう様子が実に自然に描かれている。その過程が、妙に盛り上げるように描かれているのではなく、すっと、さりげなく描かれているのが監督の感性の素晴らしさなのだろう。また、のんの天真爛漫な笑顔が、その展開に説得力を持たせている。
 就職してもなかなかうまくいかない様子も「そりゃ、そうだろうな」と思いつつ、「うまくいってほしいな」と、いつの間にか応援する気持ちになってしまう。
 ちなみに、最後の堤防を走るシーンで「このまま堤防の先端まで走って海に飛びこんだら、それこそ『あまちゃん』だよね」とか思ったら、本当に飛びこんでしまったのでついつい笑ってしまった。彼女の出る映画、ドラマをもっともっと観てみたいものだ。