★ピクセル

 クリス・コロンバス監督のSFバトルアクション映画?ピクセルを観る。

 1982年、NASAが宇宙に向けて友好のメッセージを発信した。だが、その中に入っていたアーケードゲームの情報を宣戦布告と誤解した宇宙人は、地球にゲームキャラを送り込んでくる。現実化した「ギャラガ」「アルカノイド」「パックマン」といったゲームキャラと戦って、先に3回勝った方の勝ちというルール。インド、ロンドン、ニューヨークに襲いかかるピクセルたち。それを迎え撃つのは、かつてのビデオゲームのオタクたちだ。いま、ゲームオタクと80年代のゲームキャラとの、地球の運命をかけた闘いが開始される!

 実にバカバカしい設定の映画だけれど、その監督がクリス・コロンバスとなると話は別だ。『グレムリン』『グーニーズ』『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』の脚本を書き、『ベビーシッター・アドベンチャー』『ホームアローン』を監督したクリス・コロンバスである。子どもっぽい発想の映画で、とてつもない才能を発揮する監督なのだ。
 正直、『ハリー・ポッター』を監督した時には、なるほどうまい人選だと思いながらも、あまりにも真っ当な内容にクリス・コロンバス才能の無駄遣いだと思った。『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』とかも、クリス・コロンバスじゃなくてもいいじゃんと思った。きっと、クリス・コロンバスとしても、そうした大作映画を撮ることに「違う。オレが撮りたいのはこういう映画じゃない」という思いもあったのではないだろうか(これ、自分の勝手な思い込みですけど)。その結果生まれたのがこのバカバカしい限りを尽くした『ピクセル』というわけだ。
 しかし、まさかここでセリーナ・ウィリアムズを出すか! ええっ、マックス・ヘッドルームなんて、本作が公開された2015年の時点でも覚えている人そんなにいないんじゃないのか。そして、クライマックスはドンキーコングかよ!
 いやあ、バカバカしい。でも、楽しい。これこそクリス・コロンバスだよ。