★ザ・レイク

 タイの怪獣映画『ザ・レイク』を観る。

 農村地帯で少女が巨大な卵を発見する。持ち帰ったその卵を姉から捨ててこいと言われたが、少女は拒絶し、卵を抱えてどこかへ走り去ってしまう。その少女を追った姉と兄の前に、半魚人と鰐が合体したような生物が現れ、村人の殺戮を開始し、さらには街へと向かっていく。だが、それは恐怖の序章にすぎなかった。殺戮を繰り返す謎の生物をようやく捕獲したと思ったら、今度はさらに巨大な怪獣が現れて、市街地に向かうのだった。

 怪獣の造形はなかなかのもの。その怪獣を、合成、CG、アニマトロニクスといった複数の手法を使って、なかなかリアルに登場させてくれている。このあたりは、充分に評価にあたいする映像だろう。
 ただし、怪獣の写っていない画面を、人間が逃げ惑うシーンが多いのは残念。予算を安くあげようとしたのかなあ。
 そして、怪物の全体像が写っているにもかかわらず、カメラが常に揺れている演出のために、いまいち姿をはっきりと見せてくれないのも残念。カメラが揺れ動いていれば、臨場感や迫力が増すと考えたのだろうけれど、時にはそれをピタッととめて怪獣の姿をはっきり見せるのも怪獣映画の見せ方だろうと思うのだが。
 さらに残念なのは、人間ドラマがどうにも中途半端な点。誰が主人公なのかも分からないし、登場人物がいったい何を考えているのかもいまひとつ分からない。登場人物のひとりが怪獣に共鳴してどこにいるのか分かるようになるとかいう設定も、それってなに?という感じだし、父親に反抗する刑事の娘も、なんでそこまで反抗する? なにをして学校を放校になった?と、よくわからない。とにかく全般的に説明が不足なのだ。
 そして、その説明不足はラストシーンで強烈にパワーアップして、まったくわけの分からないエンディングに突入してしまう。えっ、これっていったいどういうこと? あれもこれも、わからないんですけど。どういう終わり方なの、これって?

 というわけで、怪獣の造形はいいし、その怪獣が暴れ回るシーンもなかなか見せてくれるのだけれど、それ以外の要素についてはなんとも評価しがたい、がっかりな1本なのでした。