★サスペリア

 ダリオ・アルジェント監督、ジェシカ・ハーパー主演のホラー映画サスペリアを観る。
 日本で公開されたのは1977年で、当時19歳だった自分はその際に劇場で観ているのだけれど、その時の興奮が甦ってきた。とにかく、全編にわたって色彩が異様なのだ。そこにゴブリンによる不気味なテーマ曲が被さり、きわめて独特な映像空間が産み出されている。正直、こんな映画はそれまで観たことがなかった。その、ある種耽美の極地とも言うべき映像空間で、次々と美少女たちが血祭りにあげられていき(いや、次々というほどではないか。でも、そういう印象ではあったのだよ)、ジェシカ・ハーパーが怯えて逃げ回る。

 冷静になって考えてみれば、ストーリーに整合性はなく、なぜ美少女たちが次々と殺されるのかという説明もないに等しい映画なのだけれど、そんなことはどうでもいいと思わされてしまう。名作とは、そういうものなのだろう。
 かくして、興奮冷めやらぬ自分は、翌年に公開された『サスペリアPART2』も劇場に駆け付け、「ぜんぜん続篇じゃないじゃん!」と驚愕することになるのだけれど。

 ところで、19歳でこの映画を観た自分の記憶では、ジェシカ・ハーパーはとてつもない美少女だったのだけれど、いまあらためて観てみると「それほどでもないじゃん」とか思ってしまうのはなぜなんだろう? いや、間違いなく美少女だよ。ちょっとロリの入った、しかもゲジゲジ眉毛の美少女だよ。だけど、僕の記憶の中ではこんなものではない美少女だったのだ。記憶の中で長い年月をかけて熟成しちゃったのかなあ。

 2018年にリメイクされているのだけれど、こちらは未見のまま。機会があったら……観るかなあ?