★銀座の恋の物語

 こないだ観た『嵐を呼ぶ男』があまりにも面白かったので、ふたたび日活時代の裕次郎の主演映画『銀座の恋の物語』を観る。
 監督:蔵原惟繕、主演:石原裕次郎浅丘ルリ子、製作:水の江瀧子
 銀座の裏町に暮らす画家志望の若者、次郎(石原裕次郎)は、恋人のチャコ(浅丘ルリ子)といずれ結婚しようとは思っているのだけれど、いまはまだ絵が売れずに絵の具すら思うように買えない貧しい暮らしをしている。次郎と同居している宮本(ジェリー藤尾)は音楽家志望で、ふたりで世に出ることを夢みていた。だが、宮本は夢破れて犯罪者となり、チャコもいつまでも結婚できずに待たせてばかりの次郎に就職することをせがむのだった……。

 歌の方は良く知っていたけれど、映画の方はどういう内容なのかまったく知らなかった。まさか、こんなに無理のある映画だとは思わなかった。ある時、次郎との待ち合わせ場所に急ぐチャコは、そのまま行方不明となってしまうのである。その理由が記憶喪失というかなんというか、交通事故にあいそうになったショックで本来の人格が別の人格と入れ違って、別の人間としての生活を始めていたというのである。まさか二重人格テーマの映画だとは思わなかったけど、それってめちゃくちゃ無理がある。どうやって、別の人間としての生活を始めていたのか、そこの説明が何もないのだ。こないだ観た『嵐を呼ぶ男』が素晴らしすぎたので、さすがにガッカリだ。
 ちなみに、自分は若い頃の浅丘ルリ子をぜんぜん知らなかったので、自分の知っている浅丘ルリ子とイメージがまったく一致しなくて、なんとも不思議な感じがしてならない。自分の知ってる浅丘ルリ子って、若い頃の面影がぜんぜんないじゃん。